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【クレモンティーヌのパリ便り】子供の適性を見極める
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息子のディエゴ。新学期の巻き返しに期待です!=フランス(クレモンティーヌさん提供) みなさん、明けましておめでとうございます。2015年が素晴らしい年になることを願います。
フランスではクリスマスは家族で、新年は友達とパーティーをするのが一般的な年末の過ごし方なのですが、日本は逆なのですよね? わが家はと言うと娘はカナダとNYで、息子はバルセロナで友人と、私はパートナーと愛犬と南仏の別荘でゆっくりとバカンスを過ごしました。いずれにせよ、子供たちには何かとイベントの多い冬休みが終わり、新学期が始まりました。
今日はみなさんに親として子供たちの進路とどのように向き合うかについてお話ししたいと思います。フランスでは戦後「全ての子供に教育を」というスローガンのもと、バカロレア(大学などの高等教育機関に入学するための資格およびその国家試験のこと)の取得をひとつの目標にしてきました。バカロレアにはS(科学)、ES(経済と科学)、L(文学)と技術職(専門職)の種類があります。
娘のソリータはLを取得後に美術方面の大学に進み、今は夢中になってアートの勉強をしています。彼女が将来アート系の仕事に就けるかどうかはわかりませんが、若い時に何かに熱中することは素晴らしいと思うので、本人が納得するまで勉強させるつもりでいます。
問題は3年前から地方の全寮制の学校に行っている、勉強に全く興味のない15歳の息子です。1学期終了時点で、「このままでは進級は難しいでしょう。来年から技術系に進むことをお勧めします」と通告されてしまいました。親としてはかなり衝撃的な出来事です!
でもね! 「どうして一般バカロレアを取得しないといけないんだろう?」ということについて、パートナーや彼の父親と話しました。例えば北欧では手に職をつけることを大いに奨励しています。実社会においても友達のパティシエや料理人もこの技術系バカロレアを取得して、今では世界中で大活躍しています。何より自分の仕事に自信を持って人生を謳歌しています。
経済に行き詰まっているヨーロッパでは医学や法学など直接職業に結びつく分野以外、学歴はあまり重要視されなくなってきていることも事実です。海外に留学する子供の数も増え続けています。35歳になっても定職に就けない人や、リストラされて家賃を払えず、両親の家に居候している人も何人も知っています。
いい機会なので息子とじっくり話し合いました。将来何がしたいのか? 何に興味があるのか? すると何と彼は「ものまね芸人になりたい!」と言ったのです。そのために演劇の勉強がしたいらしいのです。もちろんまだ15歳ですから考えが変わる可能性も十分にありますが、演劇の勉強をするためにはバカロレアLを取得しておいた方がいいということを説明すると、それならしっかり勉強する!と俄然モチベーションがあがったようです。
さあ、新学期。彼は巻き返せるのか? 少なくとも勉強する意味を見つけてくれたことを母としてはうれしく思っています。子供の適性を見極めることも親の大切な役目ですものね。