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【クレモンティーヌのパリ便り】女性が自然体でいられるために
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暖色の鮮やかなワンピースがステージに映えた=2014年12月12日、東京都港区南青山のブルーノート東京(Yuka_Yamajiさん撮影、提供写真) みなさん、お元気ですか? 私はたったいま、灰色の空がどんよりと広がるパリに着いたところです。ブルーノート東京のコンサートや丸ビルのイベントにいらしていただいた方、「ほぼ日」の中継を見ていただいた方、ラジオを聴いてくださった方、本当にありがとうございました。
今回もたくさんのインタビューを受けました。今日は皆さんにその中で特に印象に残った質問についてお話ししたいと思います。
「何歳まで歌うつもりですか?」「50歳になってもこんなに若々しい服を着る秘訣(ひけつ)を教えてください」「男性にもてるにはどうすればいいですか?」
日本には女性の年齢差別が今もあり、子供を持って第一線で仕事を続けるのは難しいとのこと。年相応の服装が存在すること。質問の背景には、そんな現実があるように思えました。
私の仕事には定年はありません。私の歌を聴きたいと言ってくれる人がいる限り、声が出る限り、皆さんが応援してくれる限り歌い続けるつもりです。
女性に対する年齢差別はフランスをはじめヨーロッパでは日本ほど根強くありません。まず「おばちゃん」という言葉がないのです。35歳を過ぎた頃から日本の女性はこのカテゴリーに入れられるそうですね。専業主婦という存在も非常にまれです。マダム専門の洋服屋さんもありません。いくつまでに何かをしなければならないという強迫観念が薄く、女性たちは自由に生きています。女性に若さだけを求めるのは、男性側にも問題があるのではないのでしょうか?
フランスでは若い女性には「マドモワゼル」、大人になると「マダム」この2つのカテゴリーしかありません。ジャンヌ・モローにカトリーヌ・ドヌーヴ、ヌーベルバーグのアイコンである女優アンナ・カリーナ、シンガーのシルヴィ・バルタンも今でも大活躍しています。ショービジネスだけでなく、政治の世界も経済界にも街のお店や学校にもいくつになってもすてきな女性はたくさんいます。
私は決して「女性の立場向上」を目指し運動してほしいとは思っていません。もっと自然に自分の年齢と付き合い、女性が自然体でいられるために少しでも何かが変わっていくと、みんなが幸せになれるのではないかな-と感じています。
今回のブルーノート東京の土曜日の公演は、就学前の子供たちにも見ていただけるプランも用意したので、たくさんの方が家族一緒にコンサートに来てくれました。お母さんたちには「子供を連れて出かけたくても難しいんです。すてきな機会をありがとう!」と言っていただきました。
子育ては本当に大変です。ともすれば、数年間、子育てばかりの生活になりがちです。私自身は子供が0歳のときからツアーに出かけていたので「寂しい思いをさせたのでは」と子供に問題が起きるたびに反省したのですが、2人とも今のところなんとか育ってくれています。
これからどんどん「親子コンサート」を開催したいと思っています。お母さんたちがおしゃれして出かける場所って大切ですもの。親であり女性であることはごく自然なことです。すてきなママを見たら子供もうれしいはずですから。