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【クレモンティーヌのパリ便り】エレガントな女性とは?
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無駄遣いに気をつけて、質の高い生活を送りたいですよね=2013年1月30日、フランス(クレモンティーヌさん提供) みなさん、お元気ですか? フランスはほぼ全ての地域で10日間の冬休み(別名スキー休み)に入りました。私は久々にパートナーと日本に行くことになりました。
パリでは、明らかに以前より頻繁に聞こえてくるサイレンの音に、街全体の緊張は隠せませんが、市民は各自の考え方で「自分たちの警戒の仕方」を選択し日常生活を送っています。
そんな中、美大生の娘が「今日ね、アジアの雑誌のインタビューを受けたよ」と言って帰ってきました。街角でちょっとおしゃれなパリジェンヌを探せ、といった取材のようです。質問の内容を聞いてみると、「今日のあなたの着ているもののブランド名と値段は?」「あなたにとってエレガントな女性とは?」「いま夢中になっていることは?」の3問でした。
最初の質問に対する彼女の答えは「私はまだ21歳の学生です。洋服にお金をかけることはできません。今日着ているものは祖母からもらったコートと日本で買った古着のセーターにファストショップのジーンズです」でした。
フランスの若者は一般的にブランド品のかばんや財布を持ったりしません。アルバイトのような仕事が少ないので学生は誰でもできる限り倹約するものなのです。
いま日本では「フランス人は10着しか服を持たない」という題名の本が話題だと聞きました。私自身はこの本のことを知らなかったのですが、タイトルには共感できる気がします。
ものは必要最低限あればよくて、ものを持たずに楽しむ方法はたくさんあると思っています。私の両親は、父はレコード、母は洋服が好きで、とにかくものをたくさん持っていました。両親が亡くなった後、姉と2人で何週間もかけて地下収納室の整理をしました…。娘も旅先で買ったものなど、いろんなものをしまいこんでいます。私は必要最低限のものがあれば大丈夫! たくさんのものは必要ないんじゃないかと思っています。
2つ目の質問には「女優のシャルロット・ゲンズブールなどシンプルで上質な洋服をさらっと着こなす女性にエレガントさを感じます」と答えたそうです。
なるほど、私もほぼ同感ですが、私にとってのエレガンスは少し違います。みなさんは私の新曲「パリのお散歩」のPVをみていただけましたか? あの中の世界こそが元祖パリ・シックだと思います。まるで絵を描くように自分の洋服を選び、何よりも自分の美意識を大切にしているように思います。
エレガントでシックというのはなかなか難しいことですが、母はとてもおしゃれな人でした。決して派手な色使いのものを買うわけではなく、茶系やワイン色でまとめてみたり、上質でシンプルなアイテムをシックに着こなしていました。高価なものやブランドもので全身着飾ることではなく、私たちの世代で言えばイネス・ド・ラ・フレサンジュのように、いろいろセンスよく組み合わせるのがエレガントでシックな着こなしなのではないかと思います。
3つ目の質問の答えは「アートです」と即答したそうです。
娘はベビーシッターをしてためたお金で、少しでも時間があれば展覧会や映画に出かけています。
日本はフランスよりずっとものや情報があふれる消費社会のように思います。私は普段から無駄遣いをしないように気をつけています。パートナーのファブリスは私よりももっとお金を使いません。そんな彼がお金を使うのは、本を買う時だけなんですが、それは質の高い生活を始める第一歩としてとても良いことなのかもしれません。
Le total look est ridicule,le trop mode aussi.
全体が統一されたファッションはばかばかしい。流行を追いすぎるのも同じこと。(フランス人アーティスト クレモンティーヌ/SANKEI EXPRESS)