カネをじゃんじゃん刷っても増えない消費 回復の即効薬は?
更新つまり、FRBがドルを刷れば刷るほど景気がよくなる。米国では量的緩和で株価が力強く上昇し、株価にひきずられるように実体景気が好転していく経路がしっかりしているのだ。
日本の場合も、量的緩和→株価上昇となるが、株価上昇が実体景気と結びつく経路がかなり細い。そのうえに、消費税増税による家計の購買力喪失が加わっている。
安倍晋三首相がともかく、消費税率10%への引き上げを17年4月に先延ばしし、さらに「首相任期中は10%超の消費税率引き上げはやらない」と宣言したことはまさに正解だが、消費税率8%による家計消費の圧迫は今後も続く。1997年4月の消費税増税の後は、家計消費が数年間も低迷した。
賃上げも全雇用の7割を引き受けている中小企業には浸透しにくい。家計消費回復のための即効薬は日銀の量的緩和追加策ではなく、財政つまり消費税率の引き下げか、所得税減税しかないだろう。(産経新聞特別記者・編集委員 田村秀男/SANKEI EXPRESS)

