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社会
【調布小型機墜落】5倍の燃料積載 離陸ぎりぎり重量
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小型プロペラ機の墜落現場を調べる捜査員=2015年7月28日午後、東京都調布市(共同通信社ヘリから撮影) 東京都調布市の住宅街に、離陸直後の小型プロペラ機が墜落した事故で、小型機は予定していた伊豆大島までの片道分の5倍に当たる大量の燃料を積んでいたことが28日、国土交通省への取材で分かった。
重量は離陸可能な限界ぎりぎりだったとみられ、高温による推力不足など複合的な原因で高度を十分に上げることができず、墜落につながった可能性がある。
国交省などによると、事故を起こしたパイパーPA46の機体そのものの重さは約1200キロで、理論上の離陸可能な最大重量(最大離陸重量)は約1950キロ。
小型機が予定していた調布飛行場-大島空港の片道の飛行時間は約1時間だが、死亡した川村泰史機長(36)は、提出した飛行計画書に5時間分の燃料を積載していると記載していた。
PA46の燃費性能で計算すると、最大約280キロの燃料を積んでいたことになる。さらに、機長を含め搭乗していた成人男性5人の体重が加わり、荷物もあれば、限界の重量まで100キロを切っていた可能性が高い。
航空関係者によると、PA46のような単発プロペラ機のエンジンは、高温になると性能が下がり、35度前後からは急激に出力が下がる。事故が起きた26日午前11時ごろの気温は34度だった。
当時は風が弱く、滑走路の長さも800メートルしかなかったため十分に揚力を稼ぐことができず、離陸後も十分に高度が上がらなかったとみられる。
元日航機長で航空評論家の杉江弘さんは「パイロットは機体の重量を綿密に計算していたのか」と首をかしげる。小型機で燃料を多く積む場合は、代わりに搭乗人数や荷物を減らして重量を調整するのが一般的といい「成人男性が5人乗っていればかなり重かったのではないか」と推測する。
さらに、滑走路上は40度近かったとみられることから「エンジン出力が足りないまま離陸し、上昇させようと無理に機首を上げた結果、失速した可能性も考えられる」と指摘。機長がどのように重量計算していたかが事故調査の焦点になるとみている。
≪警視庁 管理会社など家宅捜索≫
警視庁調布署捜査本部は28日午後、業務上過失致死傷の疑いで、小型機の管理を委託されていた日本エアロテック(調布市)や、操縦していた川村泰史機長=死亡=が社長を務めるパイロット養成会社シップ・アビエーション(調布市)など関係先3カ所を家宅捜索した。押収資料を分析し墜落原因を調べる。ほかに家宅捜索したのは、小型機を所有する不動産関連会社ベルハンドクラブ(東京都福生市)。
小型機は高度が上がらず低空飛行し、本来直進するところを左に旋回していたことが判明。捜査本部は、小型機が大量の燃料を搭載し、離陸可能なぎりぎりの重量だったことに加え、機体に何らかのトラブルがあったとみて、負傷者らからも回復を待って事情を聴く。
墜落現場からはエンジンや翼の骨組み部分が見つかり、現場近くの住宅2階にある屋根のアンテナが倒れていたことも分かった。捜査本部は、事故状況を解明する手掛かりとみて翼の骨組み部分を回収した。小型機は最初に、アンテナが倒れていた住宅に接触したとみられる。
捜査本部によると、小型機は離陸後、翼を上下に揺らしながら不安定な状態で低空飛行し、左に大きくそれて1分足らずで南東約500メートルの住宅街に墜落した。都などによると、調布飛行場では滑走路を南に向け離陸した場合、中央自動車道まで直進し、十分な高度に達してから左右どちらかに旋回するルールになっている。
また、翼の一部は現場住宅の西側壁面にぶら下がった状態で発見。エンジン部分や計器類も、焼けた家屋の残骸に埋もれていた。機体は尾翼部分が残っているが、前方は墜落時の衝撃や火災で原形をとどめていない。事故では、川村機長ら搭乗者2人と、住宅にいて巻き添えになった鈴木希望さん(34)とみられる女性の計3人が死亡。ほかの搭乗者の男性3人も重傷を負い入院した。
小型機は、ベルハンドクラブから管理を委託された日本エアロテックが、シップ・アビエーションにリースしていた。(SANKEI EXPRESS)