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【独旅客機墜落】副操縦士「皆が私の名を記憶する」 元交際相手が証言
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フランス南部アルプスのジャーマンウィングス機墜落現場で行なわれている遺体の収容作業。地形は険しく、約50人の捜索隊員は滑落防止のためザイルで安全を確保している=2015年3月26日(ロイター) フランス南部でのドイツ格安航空会社ジャーマンウイングス機墜落で、ドイツ大衆紙ビルトは28日、機体を故意に墜落させた疑いがもたれているアンドレアス・ルビッツ副操縦士(27)が「皆が私の名を記憶することになるだろう」などと述べていた、との元交際相手の女性の発言を伝えた。副操縦士が「故意に機体を破壊しようとした」とみて、乗客乗員149人を死亡させた殺人容疑も視野に捜査しているフランス、ドイツの捜査当局は、女性の証言についても確認するとみられる。
一方、墜落現場での遺体の身元確認作業についてフランス捜査当局は27日、1~2週間を要するとの見通しを明らかにした。また欧州連合(EU)の欧州航空安全庁は27日、各国航空当局と航空会社に、操縦室に常に2人以上の人員がいることを義務付ける規則導入を求める「暫定勧告」を出した。
ビルト紙は、副操縦士と昨年知り合い、5カ月間交際後、別れたという客室乗務員の女性(26)のインタビューを掲載。副操縦士は「いつの日か、全てのシステムが変わるようなことをする」と豪語していたといい、女性は「当時は何を言ったのか分からなかったが、今になって意味が分かった」と述べた。副操縦士が機体を墜落させたとすれば、その動機について「健康上の理由で、機長や長距離路線の操縦士になるという夢がかなわないことを悟ったからだ」との見方を示した。
家宅捜索で「乗務不可」と書かれた医師の診断書が破られた状態で見つかっているが、「機長になる夢が終わったことを認めたくなかったからだろう」とした。女性は、副操縦士が精神的問題を抱えていることに気付いたため別れたという。副操縦士は浴室に長時間、閉じ籠もったり、夜中に突然「墜落する」などと叫んだりすることがあった。会話中に突然興奮して怒鳴り出すこともあったという。
また、仕事については、「安い給与や契約の不安」「大きすぎる重圧」などと不満を訴えていたという。(共同/SANKEI EXPRESS)
≪巨額補償、悪印象 ルフトハンザ窮地≫
フランス南部の旅客機墜落は、副操縦士が故意に機体を墜落させた疑いに加え、精神疾患を隠して乗務していた可能性が浮上した。旅客機を運航していたドイツの格安航空会社ジャーマンウイングスと親会社のルフトハンザ航空のイメージ悪化は必至で、信頼回復に向けた対策が急務となる。
「急な出費を補償するため、乗客1人当たり最大5万ユーロ(約650万円)を支払う」。ルフトハンザの広報担当者は27日、ドイツのメディアにこう語り、乗客の家族に補償金の一部を前払いする方針を表明した。
航空事故で死亡した場合の補償金の国際的目安は1人約14万5000ユーロとされる。フランス紙ルモンド(電子版)は27日、乗客144人が絶望視されていることを念頭に、補償金の総額は最低でも合計約2100万ユーロに上るとの見方を伝えた。民事訴訟となり会社側の落ち度が認定されれば、金額はさらに膨らむ。
補償金はまず一定額が、犠牲者の年齢や性別にかかわらず支払われる。その後、個別の犠牲者ごとに収入や生活状況を考慮して補償額を算定、家族側と交渉する。しかし、家族側が会社側の提示した金額に納得できなければ、民事訴訟になるケースもある。
今回のケースは、精神疾患が伝えられる副操縦士の心身の状態と、それが業務に与える危険性を、航空会社側がどの程度認識していたかが争点になるとみられる。ルフトハンザのシュポア社長は26日の記者会見で、副操縦士について「100%適格だ。異常はなかった」と強調した。
一方で、副操縦士が6年前に養成訓練を長期間中断した理由は明らかにしなかった。一部報道では精神的問題が理由だったとされている。またルフトハンザが、訓練中に行っている心理検査を、養成を終えた操縦士には課していないことも判明した。
ルフトハンザとジャーマンウイングスは、家族側のある程度の要求をのんででも民事訴訟は避けたいのが本音との見方が多い。航空会社は墜落などの事故に備え保険を掛けており、金銭的な負担には耐えられても、法廷闘争になり、世間から悪印象を持たれれば、経営に直接影響しかねないためだ。
旅客機の墜落が航空会社のイメージに与える打撃は大きい。ドイツ経済紙ハンデルスブラットは、1988年の爆破事件を機に客を失って経営が傾き、91年に事業清算に追い込まれた米航空大手パンナムを例に「テロであろうと事故であろうと航空会社は信頼を失う」と指摘している。(共同/SANKEI EXPRESS)