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途上国より巨大市場 2022年冬季五輪は北京
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2022年冬季五輪開催地を読み上げたトーマス・バッハIOC(国際オリンピック委員会)会長=2015年7月31日、マレーシア・首都クアラルンプール(ロイター) 国際オリンピック委員会(IOC)は31日、クアラルンプールで総会を開き、2022年冬季五輪の開催都市に北京を選んだ。08年夏季五輪を開催した北京は、史上初めて夏冬五輪の開催都市となる。18年冬季は平昌(韓国)、20年夏季は東京と3季続けて東アジアで五輪が開かれる。
北京とアルマトイ(カザフスタン)が争った招致合戦は、バッハ会長や中国のIOC委員3人、11人の欠席委員を除く85人のIOC委員による投票の結果、財政力と08年五輪の経験で優勢とされた北京が、44-40で勝利した。
投票に先立って行われた最終プレゼンテーションでは、中国の習近平国家主席がビデオで登場し「中国人民は世界に、素晴らしく、卓越した非凡な冬季五輪を提供する」と約束。米プロバスケットボール、NBAの元スター選手、姚明氏は「五輪選手は中国のロールモデルだ」と、スポーツの影響力をアピールした。
アルマトイは、コンパクトな開催計画と豊富な雪資源、五輪アジェンダ2020との整合性をアピールしたが、1次選考で落選した14年冬季五輪に続き、中央アジア初の五輪開催を逃した。
22年冬季五輪開催都市の選定で、中国メディアが的を射た形容をしていた。「巷ではこう認識されている。北京にはカネがある。アルマトイには雪がある」-。
IOCは世界第2位の財政力と、13億人超の巨大市場を選ぶのか、選手が求める競技環境を提供し、今後の立候補都市拡大につながる中央アジアの発展途上国を選ぶのか、ということだ。
五輪の内情に詳しい関係者は投票前、「そりゃカネでしょ」とIOCの思惑を看破した。評価委員会の報告書は、人工雪やアルペンスキー会場造成に伴う環境破壊や人権問題といった北京のリスクに目をつぶり、アルマトイの問題を列挙した。報告書と最終演説を基準に投票するIOC委員が北京に傾くのは当然だ。
22年冬季五輪招致は、巨額の開催費への世論の反発からオスロなどの有力候補が撤退した。IOCは危機感を抱き、コスト削減が軸の中長期改革案「五輪アジェンダ2020」を採択した。
アルマトイの招致団を率いたマシモフ首相は、「小さな発展途上国でも五輪を開催できることを示す。アルマトイを選ぶことは、五輪アジェンダを現実たらしめる」と訴えた。バッハ会長も韓国紙への寄稿で「候補都市が無理に誘致合戦に参入せず、自分たちの状況に合う五輪を開催できるようにした」と語った。
だが、改革にはリスクが伴う。関係者が「10票はアルマトイに流れた」と評した最終演説も、IOCが自戒したはずの旧来の流れを変えられなかった。(クアラルンプール 川越一/SANKEI EXPRESS)