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日本サッカー 「最悪の週末」 北朝鮮に逆転負け

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日本サッカー 「最悪の週末」 北朝鮮に逆転負け

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歓喜に沸く北朝鮮イレブンの向こうで、バヒド・ハリルホジッチ監督は悄然とベンチを立てないままでいた=2015年8月2日、中国・湖北省武漢市の武漢体育中心(彦野公太郎撮影)  日本サッカー界と、そのファンにとって、最悪の週末といえたのではないか。

 中国の武漢で開催中の東アジア杯。1日の土曜は、先のワールドカップ(W杯カナダ大会)で準優勝を飾ったばかりの日本女子代表「なでしこジャパン」が北朝鮮に2-4で大敗。翌2日の日曜は男子代表が同じ北朝鮮に1-2で逆転負けした。

 なかでも深刻なのは、男子代表である。6月のW杯アジア2次予選でシンガポールを埼玉スタジアムに迎え、0-0で引き分けたばかり。この日も国際サッカー連盟(FIFA)ランキングで大きく水をあける北朝鮮を相手に試合早々、先取点を挙げながら、後半、ずるずると逆転を許してしまった。

 よほどショックだったのだろう。試合終了のホイッスルが鳴ると、ハリルホジッチはしばらく、自身の定位置であるベンチの左端に腰を下ろしたまま、動くことができなかった。

 試合後もハリルホジッチの混乱は収まらなかった。かねて「大会前に言い訳はするが、試合後には言わない」と胸を張っていたはずだが、試合後会見では恨み節に終始した。

 「準備期間が足りない。3日目に武漢に着き、1回しか練習をしていない。相手は何週間も準備してきた」

 「日本のサッカーに関わる責任ある方々に、何が起きたのかしっかりと見てほしい。きょうも疑問を投げかけたい。私の方が正しいと思う。これが日本のフットボールの現状だ」

 ごもっともではあるが、Jリーグで戦うプロの集団と、ステートアマのチームを同列で比べるわけにはいかない。日本サッカーをアマの時代に戻すわけにはいかないのだ。

 北朝鮮のキム・チャンボク監督は「確かに長くトレーニングをしてきたが、それよりも闘争心や団結力が勝利の鍵になったと思う」と強調した。

 勝利監督の弁には傾聴しよう。過密日程の中でチームをどう伸ばしていけるのか。歴代代表監督も工夫を重ねてきた。ハリルホジッチにも愚痴っている暇はないはずだ。

 ≪30年続くパターン いまだ特効薬見えず≫

 負けるはずのない北朝鮮に逆転負け。一体、何が起きたのか。構図は単純、簡単である。

 試合開始早々、右サイドに入った遠藤航(湘南)のアーリークロスに2列目からニアサイドに駆け込んだ武藤雄樹(浦和)が合わせて前半3分の先取点。誰もが楽勝、大勝を予想した。

 ここからいつもの決定力不足だ。トップに張った川又堅碁(かわまた・けんご、名古屋)はゴール正面でフリーになりながら得意の左足に持ち替えてGK正面。宇佐美貴史(G大阪)は左45度からカットインで右隅を狙う得意の形がGKに阻まれ、永井謙佑(けんすけ、名古屋)もフリーでパスを受けながらトラップしてGKとDFに間合いを詰められた。

 こうした展開がまず守備陣をいらいらさせる。

 北朝鮮の攻撃は、開き直ったようにシンプルだった。自陣に誘い込んでボールを奪取し、前線にアバウトに蹴り込む。日本のセンターバック、森重真人(まさと、FC東京)、槙野智章(ともあき、浦和)もよく競り勝ち続けたが、酷暑の武漢でいつまでも緊張は続かない。

 後半21分、北朝鮮は190センチの新鋭パク・ヒョンイルを投入。試合前はデータもなく、ハリルホジッチは「2メートルの選手」と呼んだ。それほど大きく見えたのだろう。

 後方からサイドから、蹴り上げられたボールにパクの頭が森重、槙野に勝ち始める。同点弾はパクの落としから、逆転弾はパクが頭でたたき込んだ。

 今に始まったことではない。日本の優位は技術と集団戦に優れた中盤にある。その頭上をロングボールが行き交う展開には彼らは手も足も出せない。DF、GKはサイズに欠け、ここに大きく強いFWがいれば止める術を持たない。

 30年続く、日本の負けパターンであり、誰も特効薬を発見していない。欧州組が合流してもそれは同じだ。

 試合に救いを探せば、これが初代表の武藤、遠藤の先制点コンビだろう。中でも遠藤は強さと激しさと速さ、旺盛なスタミナもみせた。代表に欠かせない存在となるかもしれない。(EX編集部/撮影:彦野公太郎、中井誠、共同/SANKEI EXPRESS

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