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「窓からみえる地球 本当に美しい」 油井亀美也さん ISSから初の手記

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「窓からみえる地球 本当に美しい」 油井亀美也さん ISSから初の手記

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国際宇宙ステーション(ISS)に到着直後の油井亀美也(ゆい・きみや)さん。窓の外には地球が見える=2015年(JAXA・NASA提供)  国際宇宙ステーション(ISS)に滞在している油井亀美也(ゆい・きみや)さん(45)が、宇宙での心境を初めてつづった手記を産経新聞に寄せた。油井さんは元航空自衛隊パイロットで今回が初飛行。12月下旬まで5カ月の滞在期間中、宇宙で感じたことを率直な言葉で伝える。

 皆さんこんにちは。宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙飛行士の油井亀美也です。現在、ISSに長期滞在中です。今、私はISSから宇宙を眺めながら、リポートを執筆しています。全3回にわたり、ISSで感じたことや皆さんに知ってもらいたいことをお話ししたいと思います。第1回は、「初めての宇宙飛行の感想とISSの第一印象」です。

 長年の夢であった宇宙飛行が実現したことは、率直にうれしいです。特に、宇宙船の軌道投入後に無重力を体験した瞬間、初めて宇宙から地球を見たとき、あるいはISSで日本実験棟「きぼう」の中に入ったときのうれしい気持ちは、生涯忘れられない思い出になると思います。他方で、これまで支えてくださったり、応援してくださったりした皆さんへの感謝の気持ちも大きいです。

 特に今回は、物資補給機プログレスの事故のこともあり、JAXAも各国の宇宙機関と協力し、ソユーズの打ち上げの安全確認に大きな努力をしましたから、関係者の方々には本当に感謝しています。また、宇宙開発の世界は、多くの人たちの協力によって成り立っています。宇宙飛行士という仕事は、非常に目立ちますが、全体としてみれば、ほんの一部にすぎません。私を支えてくれる多くの方々への恩返しは、ミッション(任務)の成功という形でしかできないと思っていますので、これまで通り、焦らず一歩一歩確実に前進を続け、最終的なゴールを目指したいと思っています。

 「こうのとり」しっかり受け取る

 ISSの第一印象として大きかったのは、やはり窓からみえる地球です。本当に美しい! でもあまりに小さい…。この小さな星が生命に満ちあふれていることの奇跡を感じるとともに、その生命の代表として人類が無限の宇宙へ挑んでいる姿が、このISSなのだと感じました。そのISSの中でも、「きぼう」はとても大きく、また機能美を感じさせます。さまざまな機能を備えた「きぼう」は、アイデアしだいで、新たに多種多様な実験を行うことが可能な人類の宝です。これから、この「きぼう」を最大限に利用するための挑戦が始まります。

 今月には物資補給機「こうのとり」5号機の打ち上げが予定されています。「こうのとり」には、子供の頃から星を眺めるのが好きだった自分にとって興味津々の天体観測装置「キャレット」や小動物を飼育・観察できる装置など、新たな宇宙実験の利用ニーズに対応した実験装置が搭載され、そして、何より皆さんの熱い期待が詰まっています。この「こうのとり」を私がロボットアームを操作してしっかりと受け取り、そこに搭載された実験装置を使用して新しい実験を成功させ、皆さんの役に立つ成果を出せるように導くことが、最初に私に与えられた主任務になります!

 しっかりと頑張って任務を成功させますので、皆さん、応援よろしくお願いします!(SANKEI EXPRESS

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