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男と男の一騎打ち まるで西部劇 「川崎のぼる~汗と涙と笑いと~展」 椹木野衣

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男と男の一騎打ち まるで西部劇 「川崎のぼる~汗と涙と笑いと~展」 椹木野衣

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 これらダイナミックに変遷する仕事を、展覧会場を回遊するように眺めているうち、ふと気付くことがある。

 それは、手掛けたジャンルや掲載された媒体の違いにかかわらず、川崎が一貫して「躍動」を追い求めてきた描き手だということだ。

 それは、初期に手掛けた得意なジャンルが、忍者ものと西部劇だったことに象徴されている。いずれも神出鬼没の登場人物を、平面のコマ割りのうえで、いかに迫真的に描くかに、作品の魅力が懸かっている。そして、いずれの分野も1対1の勝負の場面にクライマックスがあり、そこでは、目にも留まらぬ一瞬の攻防が生死を分ける。作画家にとっては、腕の見せどころであると同時に、たいへんな難題であったに違いない。

 若々しさと荒々しさ

 けれども、こうした「一瞬の攻防」をめぐる「目にも留まらぬ」描写で鍛え抜かれたからこそ、野球マンガの常識をはるかに超えた『巨人の星』の、あの迫真極まる作画も可能になったに違いない。誤解を恐れずに言えば、『巨人の星』とは、西部劇に見立てられた野球マンガなのだ。単なるファインプレーなどで決着がつきようがない。最後の最後にものを言うのは、“忍者”たちが駆使する秘術=魔球しかない。宿命のライバル=星と花形満の勝負は、まさにその典型だろう。

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  • 星飛雄馬「巨人の星」(原作:梶原一騎)。カラー扉:講談社『週刊少年マガジン』1968(昭和43)年43号。(C)梶原一騎・川崎のぼる/講談社
  • 「いなかっぺ大将」。2色カラー扉:小学館『小学三年生』1970(昭和45)年2月号(提供写真)
  • 「荒野の少年イサム」(原作:山川惣治)。モノクロ見開き内容:集英社『週刊少年ジャンプ』1972(昭和47)年18号(提供写真)
  • 「枯野の鬼」。モノクロ扉:集英社『別冊マーガレット』1966(昭和41)年3月号読切(提供写真)

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