試乗インプレ

極太トルク&好燃費ディーゼル ジャガー・F-PACEを試す(前編)

 英国の名門ジャガー初のSUV。その姿を初めて見たのは、昨年開催された東京モーターショーの会場だった。並んで展示されたセダンXシリーズゆずりの精悍な顔つきとスポーツクーペのF-TYPEを彷彿させる引き締まったお尻。下手をすれば鈍重な意匠に陥りかねないSUVのイメージとは一線を画したシャープな造形にすっかり魅了され…というわけで今回は、6月下旬に日本でも発売開始されたばかりのジャガー・F-PACEのディーゼル仕様車20dを2週にわたって取り上げる。(文と写真:Web編集室 小島純一)

 ディーゼル車がエコ?という素朴な疑問

 欧州では今世紀に入ってから排ガス対策を施したクリーンディーゼル車が急速に普及。もともとガソリン車と比較して二酸化炭素排出量が少なく燃費もいいディーゼル車は、環境に優しいエコカーとして広く認知され、現在では西欧を走る乗用車の半数以上がディーゼルという状況だ。

 一方、日本国内では1997年にトヨタ・プリウスがデビューして以降、エコカーと言えばハイブリッドというイメージが徐々に定着。これを日産、三菱がEV勢として追撃するなか、乗用車向けの国産クリーンディーゼルエンジンは2012年発売のマツダ・CX-5に搭載されたスカイアクティブDの登場まで待たねばならなかった。

 この間、欧州では各メーカーが主要ラインナップにディーゼル仕様を設定。ガソリンかディーゼルかをメーカーや車種にとらわれずにユーザーが選べる環境が整っていった。

 日本ではディーゼル車と言うとトラックやバスを連想し、音がうるさくて乗り心地が悪い、排ガスが黒くて環境に優しくないなど、ネガティブな印象が強いユーザーもまだ多いかもしれない(ちなみに排ガスが黒いのは整備不良が原因でクルマのせいではない)。

 そんな“悪者”が欧州では半数を超えると聞いて、「なぜわざわざディーゼル車なんか買うんだ」と素朴な疑問が浮かんでも不思議ではない。実は私自身もそう考えたひとりであり、この疑問を検証すべく今回はディーゼル仕様車をお借りしてきたわけである。

 果たして、欧州ディーゼル車は乗用に堪えるだけの資質を持ち合わせているのか。阪神高速から明石海峡大橋を経由して向かった淡路島への行程で出た結論とは…。

Recommend

Biz Plus

Ranking

アクセスランキング