【試乗インプレ】これが軽?小型車の基準すら塗り替え得る乗り心地 ホンダ・N-BOX(前編)
更新タクシーにしてもいい乗り心地
次に感心したのは乗り心地。極めてソフトで私が担当した試乗車の中ではルノー・トゥインゴにもっとも近い。そう、フランス車的な柔らかさがあるのだ。
ソフトだけれどフワフワ一辺倒ではなく、接地感は十分にあり、車線変更や交差点での旋回時にも安定が損なわれない。それでいて、荒れた路面やマンホールのふたを乗り越えた際の振動はすべて角を丸めていなしていく。わざとマンホールのふたを狙って走ってみたりしたが、そのしなやかな印象は揺るがなかった。
モデルチェンジにあたって、足回りの改良に力が入れられていたことを感じさせる仕上がりで、誰かを乗せて、「何コレ!乗り心地いいねぇ」と驚かせてみたくなる。室内(特に後席)も広いし、このクルマのタクシーがあったら是非乗ってみたい、なんて思ったりもした。
ボディー軽いのに重厚感あり
発進時の加速は、わずか2000回転までで最大トルクに近い60N・mを発揮する新しいiVTECエンジンの特性のおかげで、市街地走行の流れに追従するのに何の不足も感じない。流れをリードするほどの速さはもちろんないけれど、この静かで穏やかな乗り心地を味わってしまうと、「ゆったり流すのが正解」と思えてくる。
変速装置はCVTだから、回転数上昇に伴うエンジン音の高まりと加速感がシンクロしない独特の違和感は当然ある。しかしながら、高まったエンジン音に不快な響きがなく不思議と許せてしまうのは、やはりエンジン屋たるホンダの面目躍如と言ったところか。
先代より軽量化しているにもかかわらず、静粛性と同様にむしろ2クラスくらい上のクルマを転がしているような、いい意味での重厚感があるのも高ポイント。2000cc以上のクルマのユーザーが、セカンドカーとして乗っても十分満足できそうな「乗り味」と呼べる走りの質感が備わっている。
ブレーキは要改善
ここまでのフィーリングは1000ccクラスにまで評価基準を上げても満点に近いが、気になったのはブレーキのタッチ。踏み始めの効きが弱く、中ほどから強く効いてくる。
乗り始めのころは、予想より効きが弱かったために途中から少し焦って踏み込んでカックンブレーキになる、という場面が何度かあった。ある程度慣れで克服できるとは言え、踏み込み度合いに応じて自然に効きが強まるよう改善を望みたい。
ハンドルを切った時の感触は指先で回せそうなほどに軽く、ハンドル越しのロードインフォメーションは決して多くない。これは走行距離に対して駐車する頻度の高い街乗りを重視したファミリーカーという性格を考慮したチューニングだろうし、シート越しに伝わる接地感に不足はないから、欠点というほどでもない。


















