実直の権化がプレミアムブランドの牙城に挑む VW・アルテオン
その造形やサイズからは「余裕」あるいは「自信」という言葉が想起され、このクルマに乗ることでドライバーが自らを鼓舞し、周囲に存在感を示すことができる予感に溢れている。つまり、ステータスシンボルになり得るクルマということであり、プレミアムカーとして十分な資質を持った外観デザインだと思う。
ライバルと比べた場合、BMWやアウディが3シリーズやA4などの既存車種のイメージに縛られる部分があるなかで、アルテオンはより自由にデザインされているとも感じる。
VWらしからぬ外観デザインで注目を集めた3ドアクーペのシロッコが、日本での販売を終了してから久しいこともあって、「攻めてるVW車」の再来は一人のクルマ好きとして大いに歓迎したい。
ドアがサッシレスなのも、いかにもクーペという感じで気分が上がる。
高級車として差別化が課題
そのドアを開けて運転席に座りぐるりと見まわしてみると、内装デザインはほぼパサートと同じだ。個人的にはパサートの内装は国産、輸入車を含めた現行全車種の中で一番気に入っているのだが、パサートより上位に位置付けられ、グレードによっては100万円以上高額なアルテオンの内装が、ほぼ同じなのはいかがなものか。
価格なりの質感向上は当然として、そもそも既存デザインの流用ではなく外観イメージにマッチしたクラス感のある新規デザインを盛り込んでほしいところだ。
目新しさがないことに目をつぶれば、出来自体はあまり文句をつけるところがない。ホールド性のいい本革シート、全面液晶で高精細な表示のメーターパネル、9インチのタッチパネルディスプレイ、直線基調で統一感のある飽きの来ないデザインと操作性のいい適切なレイアウト。
強いて粗探しすれば、ドア内側のハンドルの触感が無塗装樹脂で味気なかったことくらいか。乗り込む時には必ず手に触れる場所だけに、ここを改善するだけで、満足感はグッと上がるのではないだろうか。
しかし繰り返しになるが、これらはすべてもともとクオリティーの高いパサートのインテリアから引き継いでいる特徴だ。絶対的な評価としては高い点数をあげられるけれども、「高級車として差別化されている」とユーザーが実感できるアルテオンならではの持ち味がないのは、やはり残念と言わざるを得ない。