整備新幹線3区間着工認可 裏切られた民主公約「コンクリートから人へ」
2012.6.30 05:00更新
民主党政権になって初めて工事認可となった整備新幹線3区間の総事業費は3兆円余りとなり、マニフェスト(政権公約)で掲げた「コンクリートから人へ」の方針がまたしても裏切られた格好だ。
国交省によると、事業費のうち約1兆円はJRが支払う既存新幹線の施設使用料を充て、残りを国と沿線自治体の負担金で賄う。工期を従来の10年程度から10~24年程度に延長することで、年度ごとの税金負担を国は約700億円、地方が約350億円に抑えた。事業費は工事の進み具合で年度ごとに変わるが、増えたら借金し、事業費の少ない年度や3区間完成後の使用料で返す。
だが、過去の整備新幹線では、当初計画より事業費が増えたケースもある。
2014年度末完成予定の北陸新幹線長野-金沢の総事業費は、計画より約2000億円多い1兆7800億円に増額となった。1997年開業の同新幹線高崎-長野は約1.4倍の8282億円、2015年度末完成予定の北海道・東北新幹線新青森-新函館も約17%増の5500億円。資材の価格高騰や、トンネル工事の施工見直しなどが要因だった。今回の3区間の事業費は、インフレ率を年1%と見込んで算出されたものの、今後さらに膨れ上がらない保証はない。
また、事業費とは別建てだが、北陸新幹線などに導入する在来線と新幹線の双方に乗り入れができる「フリーゲージトレイン」の開発費は、税金を投入している。新幹線より車両が重く、線路の保守費用が膨らむなど実用化への課題も多い。
羽田雄一郎国交相は同日の会見で、「公共事業費に過度に依存せず、『コンクリートから人へ』の理念は変えない」と述べた。国民から理解を得るためには、民間資金の導入や工費縮減などの努力も必要となる。
国交省整備新幹線小委員会座長で、3区間の投資効果や採算性について報告書をまとめた東京大大学院の家田仁教授は「もっと良いプロジェクトにするには検討すべき課題がある」と指摘する。
国交省は今後、新幹線の最高速度の設定を260キロから300キロ以上に引き上げることや、青函トンネル内で貨物列車とすれ違うことに伴う安全性確保のため最高時速140キロとする設定の見直しなど、利便性を向上させる取り組みを続ける方針だ。