SankeiBiz for mobile

税収↑ 密売↓ 「大麻合法化」2州で嗜好用承認、米政府は激怒

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

税収↑ 密売↓ 「大麻合法化」2州で嗜好用承認、米政府は激怒

更新

 米西部のコロラド州とワシントン州で、嗜好(しこう)用の大麻合法化の是非を問う住民投票が11月6日の大統領選に併せて行われ、賛成多数で承認された。

 医療用として認められている州はあるが、嗜好用は全米初。賛成派は、課税による税収増のほか、マフィアなどによる密売撲滅につながると主張しているが、吸引者による事件・事故の増加や未成年者の吸引を懸念する声は強い。州法で認められても、連邦法では禁止されており、政府当局は断固阻止する構えだ。

 「投票者たちは意思を示した。われわれは彼らの意思を尊重しなければならない」

 コロラド州のジョン・ヒッケンルーパー知事は、住民投票の結果を受け、こう語った。ただ、「連邦法では依然、違法薬物だ」と、注意を促すことも忘れなかった。

 米国では既に約3分の1の17州で、がん患者らの痛みを和らげるといった医療目的での大麻使用を認めている。嗜好用の合法化の住民投票はオレゴン州でも行われたが、否決され、マサチューセッツ州では医療用の合法化が承認された。

 ロイター通信やCNNなどによると、コロラド、ワシントン両州では、21歳以上なら1オンス(約28グラム)以下の大麻の所持や使用が合法となるほか、アルコールのように州公認の店で販売できるようになる。コロラド州では、2014年から1人当たり6本まで大麻栽培も認められる。

 連邦法に違反

 米国にある「大麻禁止法改正のための全国組織(NORML)」のアレン・サンピエール常務は、CNNに「わが国だけでなく、世界の大多数の地域での大麻禁止法についての活動が変わる」と語り、合法化の動きが広がることに期待を示した。

 コロラド州で賛成票を投じたジーン・ヘンダーソンさん(73)も、ロイター通信に「たばこよりは(体に)いいんじゃないかな。既に州内で広まっているしね」と話し、現状追認の考えを示した。

 連邦政府と同様に、各州政府も財政悪化に苦しんでおり、「課税によって州の収入が増える」との意見もある。

 また、組織犯罪に悩むメキシコ政府の諜報機関の元高官、アレハンドロ・ホープ氏はAP通信に「コロラドで大麻が合法販売されれば、メキシコの密売組織の利益は60億ドル(約4700億円)から46億ドル(約3600億円)に減るだろう」と述べ、具体的な数字を挙げ、密売組織にダメージを与えると評価した。

 一方、反対派は事件・事故や未成年者の吸引の急増のほか、大麻吸引を目的とした州外や海外からの観光客が増え、治安が悪化すると懸念している。

 とりわけ怒り心頭なのが連邦政府だ。違法薬物取引問題を担当する2人の元政府当局者はロイター通信に「法的手段を用い、合法化項目の一部実施を停止させるほか、販売店への警告文送付などで対抗する。また、密売の温床となっている医療用大麻を使う診療所にも厳しい措置をとる」と明言した。

 「大麻合法論者にとって象徴的な勝利だが、今回の合法化は短命に終わるだろう。合法論者は政府と大統領に盾突いているのだから」

 オバマ政権の元違法薬物問題アドバイザー、ケビン・サベット氏はロイター通信にこう語った。2州で実際に大手を振って、大麻を吸えるようになる可能性は小さいようだ。

 

ランキング