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海外情勢
フィリピン、人口増で「新たな力」享受 労働力、消費、本国送金が後押し
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フィリピンは現在、人口増による新たな「ピープルパワー」を享受している。具体的には、労働力の安定供給、力強い消費、国外居住者からの活発な送金などだ。米銀バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチが2月に発表したリポートに詳細をまとめた。現地紙ビジネス・ワールドなどが報じた。
リポートによると、フィリピンはアジア地域で最も出生率が高く、女性1人当たりの産児数は3.1人だ。高い出生率を背景に労働力が増し、同国の2010年から20年までの労働人口増加率はアジアで最高の31.3%になると試算される。
また、高齢者比率が低いことも強みだ。65歳以上の人口は全就労人口のわずか5.9%に過ぎない。これに対し、安価で豊富な労働力により経済が急成長した中国は昨年、就労人口がピークを過ぎて345万人減となった。今後、労働力をめぐるアジア諸国の勢力図が塗り変わることも予想される。
人口のピークを迎える時期は、アジアの平均が32年、東南アジア諸国連合(ASEAN)の平均が42年と推測されるが、フィリピンは77年まで人口が増え続ける見通しだ。
リポートでは「有利な人口動態が、国外居住者からの送金などに表れている。これはフィリピンやベトナムで顕著だ」と指摘する。フィリピンの国外居住者からの本国送金は、12年に213億9100万ドル(約2兆300億円)に達し、11年の201億1700万ドルから6.3%増加。同国中央銀行が目標に掲げた5%増を超え、2年連続で過去最高を更新した。
フィリピンでは国民の10%以上が国外に居住している。国外居住者の送金は、12年に同国経済の70%を占めた消費を活性化させ、国の経常収支を支えるなど、同国経済の重要な柱となっている。(シンガポール支局)