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日銀決定会合 国債購入方式統合 緩和姿勢分かりやすく

ニュースカテゴリ:政策・市況の国内

日銀決定会合 国債購入方式統合 緩和姿勢分かりやすく

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 日銀の新体制は、大胆な金融緩和を通じて「今後は物価が上昇する」という金融市場や消費者の期待に働きかけることで、デフレ脱却を加速させることを狙っている。そのために、黒田東彦(はるひこ)総裁が金融政策決定会合で検討すると明言しているのが、2つの国債購入方式の統合だ。これまでとどう変わるのか、Q&A形式でまとめた。

 Q.2つの方式とは

 A.日銀は通常、経済活動に伴う銀行券(お札)の需要に対応する金融調節で国債を購入する『輪番オペレーション』を実施している。これとは別に、市場にお金を潤沢に供給する金融緩和を目的として、2010年10月に国債や社債、上場投資信託(ETF)などを購入する専用の『資産買い入れ基金』を新設。これ以降、日銀は異なる2つの手法で国債を購入している。

 Q.2つの方式の統合が重要なのはなぜ

 A.『輪番オペ』は、償還期限30年までのほぼすべての国債を対象に毎月約1.8兆円購入している。これに対し、基金は国債の購入対象を償還期限3年までに限定し、今年12月末の購入残高が44兆円になるように買い入れている。日銀には償還期限を迎えた国債分のお金は戻るため、購入額からこれを除いた分が実質的に市場に供給される『緩和マネー』だ。ところが2つの方式は購入時期も、国債の償還期限もばらばらのため、市場には金融緩和の実態が分かり難い。黒田総裁は、デフレ脱却期待を高めるにはまず日銀の緩和姿勢を分かりやすくすることが肝心と考えている。

 Q.統合に問題はないか

 A.政界や市場には、国債購入の『歯止め』がなくなると心配する声もある。日銀は、お札の発行残高を超えて長期国債を購入することを禁じる『銀行券ルール』を01年3月に自ら定めた。日銀が際限なく国債を購入すると、『財政ファイナンス(借金の穴埋め)』と受け止められかねない。そうなれば、日本の財政や中央銀行の信頼が崩れて国債価格が暴落(金利は上昇)する恐れもある。日銀の国債保有残高はすでにお札の発行残高を上回っているが、金融緩和の特別措置として基金を別枠扱いとすることでルールを維持してきた経緯がある。

 Q.歯止めがなくなるのか

 A.黒田総裁は、物価目標が国債購入の行き過ぎを抑える役割も果たすとみている。ただ、統合後に新たな購入目標を明示し、銀行券ルールに替わる歯止めとする可能性もある。

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