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中国GDP“水増し”不信感 「あくまで参考値」笑い飛ばす李克強氏
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その人物は「あくまで参考値にすぎない」と笑い飛ばしたという。さらに「人為的に操作された数字であって、信頼できない」とも話したとされる。
内部告発サイト「ウィキリークス」が公開した米外交公電に登場する中国の李克強氏の発言だ。今年3月に首相に就任した李氏が、遼寧省で共産党書記を務めていた2007年、当時のラント駐中米国大使と会食した際に、中国の国内総生産(GDP)統計数字について語った内容を米国側が記録していた。
発言の真偽を確認するすべはまずないが「もっともだ」と思わせる傍証には事欠かない。
中国紙、北京商報は、直轄市や自治区を含む中国の31の省級地方政府がそれぞれ発表した2013年1~3月期の地域ごとの名目GDPの合計額が、国家統計局が発表済みの中国全体の同じ時期の名目GDPを金額にして約4700億元(約7兆5000億円)、率では4.0%上回ったと報じた。同紙は「地方政府による“注水(水増し)”疑惑がなお続く」と指摘した。
地方のGDP合計が国家統計を大きく上回る現象はなにも今に始まったことではない。同紙によれば、通年の名目GDPで昨年は11.1%、11年は9.7%、10年は8.8%もの地方肥大型の統計数字が堂々と発表されている。この傾向は1985年ごろから始まったという。
政府系シンクタンクの中国社会科学院では「多地域をまたぐプロジェクトで数値が重複計算された」などと苦しい説明を繰り返す。
だが、清華大学の袁鋼明研究員は「地方政府は好成績を求める余り、虚偽データを報告している可能性が高い」と指摘した。地方政府幹部の人事考課には経済的な成果が重要な鍵であり、統計“水増し”の温床にもなっているようだ。
実際には“灰色収入”と呼ばれるGDPに算入されない数字も相当な規模に上ると考えられる。
共産党、政府、国有企業の幹部など富裕層による腐敗や脱税などに絡む隠れた収入がその大半。公式なGDP統計が中国経済の実態をどこまで正確に反映しているか読み切れない。
GDPだけではない。中国税関総署が発表した3月の貿易統計で、対香港輸出額が前年同月比92.9%増と異常な伸びを示し、「中国の輸出業者による虚偽申告で、貿易統計が水増しされた」との見方が広がった。
香港の貿易統計によると、中国本土からの輸入額は今年1月が34.2%増、2月は18%のマイナスだった。これに対し、中国本土側の統計では、香港への輸出は1月が88.3%増、2月は35.6%増と食い違った。
香港の市場関係者間は「中国本土の業者が架空の輸出で香港から本土に資金を移し、株式や不動産などに投資した」と受け止めている。一方、中国税関総署は「香港とは計算方法が異なる」などと強弁を続けた。
香港の市場関係者が疑念を抱く中国輸出業者の虚偽申告。この数字が堂々と貿易統計に反映されているとすれば、信頼性は低いといわざるをえないだろう。
日米欧など外資系企業による対中外国直接投資(FDI)でも、地方政府発表の合計実行額が国全体の公表値の2倍近くに達したとの報道もある。
主要な指標が軒並み疑惑の目で見られる中で、中国の公式統計に国際社会が一喜一憂し、振り回されるのは滑稽(こっけい)な世界といえる。
ウィキリークスによれば、遼寧省党委書記だった李克強氏はラント駐中米国大使に対し、「遼寧省の経済統計に限って言えば(1)電力消費(2)鉄道貨物取扱量(3)銀行融資-の3点だけに注目し、これだけで比較的、正確な経済動向を推し量ることができる」と説明したという。せめてその3つの数字は正確であることを祈る。(上海 河崎真澄)