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すべて和食の献立「晩餐会で初の試み」 ホスト国・日本の熱意、料理にも工夫
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2日夜開かれた、安倍晋三首相主催の第5回アフリカ開発会議(TICAD)公式晩餐(ばんさん)会は、食事がすべて日本食という「100人規模の晩餐会では初の試み」(外務省TICAD事務局)となった。外交儀礼上は洋食が普通だが日本食文化の発信と農水産品の輸出促進を目指す政権の意向を示した形だ。
メニューは懐石料理をベースに老舗料亭「菊乃井」の主人、村田吉弘氏が考案。先付から水物、茶・干菓子までの8品構成で、食材の基本は国産だが、日本食を楽しんでもらおうとフォアグラやトリュフも取り入れた。洋食器に盛りつけ、箸のほかフォークやスプーンも並べるなど工夫を凝らした。
また乾杯や食中酒にも日本酒を提供。発泡する日本酒「獅子の里 鮮」、安倍首相の出身地・山口県の「貴 特別純米酒」やメーンの食中酒には「九平次(くへいじ) 彼(ひ)の岸(きし)」など4銘柄と国産ワインを用意した。
安倍首相は4月のロシア訪問で地元財界人らを招き、日本食と日本の酒類を振る舞うイベントを開催。用意した200人分の食事に数百人が来場するなど盛況で「外交の場で和食のイベントを開きたい」(政府関係者)との考えを強めたという。政府はユネスコの「無形文化遺産」に日本食文化登録を目指しており、今年12月の可否決定を視野に、さりげなく日本食をPRした格好だ。
村田さんは「大人数の公式晩餐会にも日本料理が活用できることを示し、晩餐会のあり方を変えるきっかけになれば」という。ホスト国・日本の熱意はどこまで通じたのだろうか?