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「三本の矢」先行き不透明 世界同時株安…逃げ出す資金

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「三本の矢」先行き不透明 世界同時株安…逃げ出す資金

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日経平均株価と円ドルレート  世界の金融市場の動揺が収まらない。13日の円相場は約2カ月ぶりの円高水準となる1ドル=93円台に急伸。日経平均株価の終値は843円94銭安の1万2445円38銭と急落し、下げ幅は今年2番目の大きさとなった。

 米国の金融緩和縮小観測を引き金に、世界的に株式などのリスク資産から資金が逃げており、影響は新興国にも拡大。安倍晋三政権は「三本の矢」の経済政策をそろえたが、相場を下支えできず、先行きは不透明感を増している。

 前日の欧米株下落などを受け大幅安で始まった13日の東京市場で、下げ幅を拡大するきっかけとなったのが新興国市場の軟調だ。

 上海や香港、フィリピン、タイなどの主要株価指数が大きく下落。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長は「日本と新興国に共通するのは、海外資金の流入が続いていたことで、その“巻き戻し”の動きが出ている」と指摘する。

 新興国では足元で、「株、債券、通貨のトリプル安となっている」(第一生命経済研究所の西浜徹主任エコノミスト)。新興国に資金を貸し出している欧米の金融機関の財務悪化を懸念する声も出始め、リスク回避の連鎖懸念が深刻化している。

 世界市場動揺の背景にあるのは、米国の金融緩和縮小懸念だ。今月18~19日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、縮小懸念を和らげる内容が打ち出されるかが注目される。一方、「FOMCをうまく乗り切っても、リスクはくすぶり続ける」(SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミスト)との見方も根強い。

 また、海外要因が大きいとはいえ、安倍政権の経済政策が出そろった後の急落は、改めて株式市場の期待に応えきれていない状況を印象づけた。追加の成長戦略を望む声がある一方、「現在のメニューでも、実行力を示せば海外投資家の見方も変わる」(三菱モルガンの藤戸氏)との指摘もあり、“次の一手”が注目されている。

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