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中国スーパーネットバンクで詐欺横行 偽メール・ポップアップで誘導

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

中国スーパーネットバンクで詐欺横行 偽メール・ポップアップで誘導

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 複数銀行の口座管理や銀行間の資金移動が簡単に行える「スーパーネットバンク」の利用者が増える中、サービスを悪用した詐欺が横行している。中国国営新華社通信が伝えた。

 人民銀が構築

 中国人民銀行(中央銀行)が「第2世代支払いシステム」として構築した「スーパーネットバンク」。各銀行のインターネットバンキングから他行の口座に「関連付け」するだけで使用可能となる。

 職場の給与振込口座と毎月の自動引き落としに使用する口座が異なるというあるユーザーは、スーパーネットバンクを使用するようになり、「引き落としなどに必要な金額を移動させるのに便利で、手数料も取られない」と満足そうだ。

 中央財経大学民生経済研究センターの李永壮主任は「以前は各銀行が個別のネットバンキングサービスを提供するだけで、複数口座を持つ人には照会するだけでも手間がかかり、しかも銀行間の振込処理は手数料を取られた。しかし、今はログインすれば関連付けした全口座を管理できるようになり、ビジネスでもプライベートでも便利になった」と指摘する。

 ただ、その安全性には疑問の声が挙がっている。あるユーザーがネットショップの支払いを行う際、「支払い処理システム故障中」のメッセージとともにスーパーネットバンクを利用した引き落としに了承するよう誘導され、相手側に資金を移動できる権限を付与した24秒の間に10万元(約16万4000円)が引き出されたという。

 これについてセキュリティー情報サイト「360セキュリティーセンター」は、「スーパーネットバンクを悪用した詐欺行為は増え続けており、偽の電子メールを送りつけたり、支払い処理中に不正なポップアップ表示を出すなど、資金移動権限を渡すようユーザーを誘導している」と説明する。

 リスク説明不十分

 天津万華法律事務所の李琳弁護士は「こうした詐欺事件は、ユーザーの多くがスーパーネットバンクの機能を理解していないため起こっている。ユーザーにサービス使用のリスクを十分説明していない銀行も一定の責任を負うべきだ」と考える。

 李弁護士はリスク低減のために(1)口座の関連付けを行う際、リスクが生じることを警告するメッセージを表示する(2)関係によっては処理を制限する(3)振込手続きの直前にパスワードの入力などで確認させる(4)関連付けの解除を容易に行えるようにする-などが必要だとしている。(上海支局)

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