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税金払ってカニゲット! 「ふるさと納税」おまけで好調
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「ふるさと納税」が好調だ。お礼に地域の特産品を贈る自治体が増え、寄付金の大半が住民税の控除などで戻ってくるにもかかわらず、特典が得られる“お得感”が受けているようだ。静岡県では富士山が世界文化遺産に登録されたことがはずみになり、財政難にあえぐ大阪府泉佐野市は特別キャンペーンを展開する。
多くの人がふるさとで過ごすお盆に制度の活用を考えてみてはいかが?
静岡県によると、今年4~7月のふるさと納税の申し込み件数は232件(計395万7千円)。4月は18件だったが、同月末に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関が登録勧告をすると、5月は44件、6月は78件、7月は92件と急増。すでに昨年度の72%が集まった。
寄付者は寄付金の使い道として、富士山の環境保全▽観光振興▽津波対策-など7種類から選べるが、今年度の232件のうち富士山の環境保全が132件と全体の57%を占めた。
鳥取県米子市は充実した特典内容がメディアで取り上げられ、昨年度は前年度の2.6倍の7201件(約8905万円)を集めた。3千円以上の寄付者に和菓子や食事券など計12品を詰め合わせた6千円相当の「米子市民体験パック」を贈呈。1万円以上寄付すると、これに加えてカニ製品や大山ハムなど50を超える特産品(5千円相当)から1品選べ、3万円以上では2品に増える。
佐賀県玄界町は4月から、10万円以上の寄付者に3千円相当の特産品を毎月贈る特典制度を開始。地元で獲れたサザエやメロン、新米のほか黒毛和牛など旬の品々が産地直送されるとあって人気が上昇。制度を紹介する民間サイトで検索ランキングが全国5位に浮上した。担当者は「知名度アップも期待できて一石二鳥だ」と力を込める。
財政難にあえぐ自治体にとっても制度は大きな魅力だ。市の命名権まで売却すると発表した大阪府泉佐野市は20年4月のスタート当初、1万円以上の寄付者に2千円相当のタオルを贈っていたが、24年8月以降、1万~3万円の寄付者へのお礼品を大幅に増やし、泉州の水ナスやタマネギなどを選択できるようにした。
充実のラインナップが人気を呼び、今年度の寄付金額は7月末現在、762万円で前年同期比の5倍以上に。市は今月から、1万円以上の寄付者に、抽選でお礼の特産品をさらに3品選べるようにする特別キャンペーンを展開している。
市の担当者は「市の命名権は売れなかったが、制度によって市の名前は売れた」と評価。「常に他の自治体の上を行くようにアイデアを出し続けたい」と話している。