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ベトナムのオンラインゲーム業者悲鳴 市場拡大も法未整備で新作出せず
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ベトナム国内のオンラインゲーム制作会社が関連法の未整備で市場に新作を投入できず、悲鳴を上げている。
現地ニュースメディアのベトナムネット電子版によると、同国のインターネットを利用したオンラインゲーム市場は比較的歴史が浅く、2004年に登場したばかり。以後、ネットの普及などで拡大が続き、12年には市場規模が国内総生産(GDP)の0.2%に相当する6兆ドン(約280億7400万円)を突破した。
同国政府は06年、それまで野放し状態だったオンラインゲームの規制に乗り出し、暴力的な描写などを含む有害コンテンツの排除を目的に新作に対する許認可制度などを導入した。
しかし、制作に関するガイドラインを策定しないまま、すべての完成品に審査を義務付けたために市場が混乱。ゲーム制作会社が多額の開発費を投入した後に審査で発表の認可が得られず、コスト回収の機会を失うといった事例が発生した。
また、08年頃になるとオンラインゲームの利用者数が本格的な増加期に入り、市場拡大が加速。規制が実情にそぐわないものとなり、10年には市場を監督する情報通信省が一部のジャンルを除く許認可の一時停止を決定した。
以後、政府が新規制の検討を続けているものの結論が出ず、市場の法的な枠組みは、いまだ定まっていない。このため、国内のゲーム制作会社は新作を出そうにも出せない状態が続いている。
一方、未認可作品や外国作品など、違法オンラインゲームの利用者は増加の一途をたどっているという。取り締まり側の技術不足もあって、現在ではベトナム国内でアクセスできる違法オンラインゲームは200作品以上に達したもようだ。
情報通信省によると、11年と12年の2年間に14社が未認可作品を市場に出したとして、合計で5億6000万ドンの罰金処分を受けている。
地場ゲーム制作会社FPTオンラインの幹部は、認可を得ていない作品を市場に提供したことを認め、「違法とは承知していたが、10年以降は赤字続きで経営状況が苦しく、会社の存続のためには選択の余地がなかった」と述べた。
現在、ベトナムのオンラインゲーム市場の従事者は約7500人で、利用者は約2000万人に達した。
地場ゲーム制作会社VTCオンラインの幹部は「認可手続きが停止中の状態がこれ以上続けば、大きく発展する可能性を秘めた市場を潰す結果になりかねない」と述べ、早急に法整備を進めるよう政府に求めた。(シンガポール支局)