ニュースカテゴリ:政策・市況
海外情勢
信頼得られぬテレビショッピング 27%成長も詐欺・誇大宣伝多発
配信元:中国新聞
更新中国のテレビショッピング市場は昨年、578億3000万元(約9200億円)という規模に達し、前年比で27.10%増という急成長を遂げている。しかし、その背後では詐欺事件も多発しており、その実態が徐々に明るみにでている。
南京市の地元紙、金陵晩報は市民がテレビショッピングを通じて購入した「iPhone(アイフォーン)5」が、届いてみると「時尚果5代」という偽物だったという事件を伝えた。
東南快報は、「定価は2万元」という触れ込みで「金のアクセサリー6点セット」を199元で販売していたテレビショッピングの広告内容について、金の含有量がゼロだった上に基準値の3000倍近い発がん性物質が含まれていたと報じた。
番組の司会者が声を張り上げて商品を紹介し、市価をはるかに下回る値段で販売するテレビショッピング。しかし、中国では消費者が手にした商品が広告内容と大きく異なるケースが後を絶たない。
そもそも、テレビショッピングは1980年代に米国で商業化され、中国では92年に広東省の珠江チャンネルが導入したのが始まりといわれている。当初は苦戦したものの、2001年には市場規模が6億元規模に膨らんだ。さらに、中国の12年におけるテレビの保有台数は5億3500万台、有線デジタルテレビのユーザーは1億4000万世帯、デジタル化率は約66%に達しており、テレビショッピング時代の到来を後押ししている。
しかし、他の先進国のような専門チャンネルは確立されておらず、通常のテレビ番組にはめ込む形式をとっているため、番組の信用力を利用して消費者を誘惑する企業も存在している。
消費者を引きつける方法は2種類あり、1つは時間に余裕のある視聴者の“非理性的”な需要を喚起する方法、もう1つは一種の価格ゲームだという。
インターネット時代の到来を受け、テレビの主な視聴者層となった中高年と専業主婦は、テレビショッピングが仕掛ける罠(わな)にはまりやすく、非理性的な消費欲求が生まれやすいという特徴があるようだ。
また、この2つの視聴者層は安い商品に弱く、明らかな誇大広告にも簡単に騙(だま)されてしまうケースが珍しくないのだという。
関連部門はこれまで、繰り返し取り締まりと管理方法を強化してきたが、監視の目が多部門にまたがり、これが監視能力を弱める結果を招いている。
現時点では、テレビショッピング産業の販売額は社会消費品小売総額の1%にも満たない中国だが、先進国では8~12%を占めるところもあり、潜在力は大きいとみられている。
しかしながら、消費者の信頼を失う行為が頻発している現状のままでは、産業全体が衰退する可能性も否定できない。専門家は、第三者機関による決済システムの確立などを通し、消費者権利を保護していくよう提言している。(工人日報=中国新聞社)