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規制委VS原電、批判のバトル 敦賀原発「活断層」で食い違い鮮明
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原子力規制委員会が、直下に活断層があると認定した日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)をめぐって、原電は「活断層ではない」と主張。両者は連日、記者会見やプレスリリースなどで強烈な「批判合戦」を繰り広げている。電力業界の関係者は「互いに感情的になっている」とやきもきするが、国家権力と事業者の前代未聞の「ののしり合い」はヒートアップするばかりだ。
規制委は10月2日の定例会合で、「(規制委の)命令取り消し」を求めていた原電の異議申し立てを却下した。
規制委は5月下旬、敦賀2号機直下の断層を「活断層」と認定し、「活断層が動き、使用済み核燃料プールの冷却水が失われた場合の影響」を報告するよう原電に命じた。
これに対し、原電は「活断層ではなく、誤った判断に基づく違法な処分」と反発。7月16日に命令取り消しを求める異議申し立てを行った。
ただ、7月末には「何らかの原因」で冷却水が失われる場合を想定し、既存の冷却水補給手段で対応できるとする影響評価書を提出した。これが、10月2日に異議申し立てを却下した理由につながった。
「結局、評価書を出したのだから、命令を取り消す意味はなくなった」と規制委は説明したのだ。
当然のごとく原電は激怒し、「何らの説明もなく、門前払いの判断を下すのは不誠実」と規制委を批判するコメントを即日公表した。それだけにとどまらなかった。たたみかけるように翌3日、コメント(その2)も追加公表し、記者会見での田中俊一規制委員長の発言に苦言を呈した。
2日の会合後に行った記者会見で、記者から「(会合では)委員長が台本を読み上げているようにも拝見し、他の委員からも一切意見がなく、やや特異な印象だった」との質問があったことに触れ、「結論先にありきの議論だ」と“断罪”した。
さらに、田中委員長がその質問に対し「私の方からお聞きしたいが、ああいう退屈するような議論を皆さんは公開でお聞きになりたいかどうか」と答弁したことにかみついた。「規制法の執行権者として許される発言であろうか」とボルテージがさらに上がった。
とはいえ、異議申し立てをめぐるバトルは「あくまで枝葉の話」(大手都市ガス幹部)にすぎない。
“本論”は、敦賀2号機直下の断層が活断層かどうかだ。
規制委は活断層と認定したものの、実は明確な証拠を示したわけではなかった。
1995年の阪神・淡路大震災を受けて原発の耐震指針は改定された。旧原子力安全・保安院は、新指針に基づく再評価を電力各社に要請した。しかし、提出義務がなかったため、各社は先延ばしした。規制委にとって、「原電は調査を先延ばししてきた」という長年の不満もあった。
そうした中、2011年に東日本大震災が起きた。それに伴い、東京電力福島第1原発事故が発生し、すべての原発が停止に追い込まれた。規制委は、活断層がないと認めない限り再稼働を許可しない方針を打ち出した。
しかし、規制委の本来の役割は、原発の安全性を科学的に判断することだったはずだ。それが「疑わしきは運転を認めず」とのスタンスに変化し、電力各社や原電の反発を招いた。
原電は今年7月、「活断層ではない」とする独自調査結果をまとめ、規制委に提出した。
具体的には、活断層の定義である「12万~13万年前以降に動いた」形跡がないと主張し、規制委に議論をやり直すよう求めた。
8月には、外部専門家が活断層ではないとする原電の主張を強く支持した。しかし、規制委は異議申し立てに耳を貸さず、今のところなしのつぶてだ。
「科学的な議論といいながら説得力に欠ける」
今月16日夜、経済産業省で開催された「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会」の会合で、敦賀原発が立地する福井県の西川一誠知事は、規制委を厳しく批判した。
電力会社幹部は「原電のコメントは、やや感情論が先走っているが、規制委の木で鼻をくくったような対応もいかがなものか」と打ち明ける。
両者の言い分は依然として食い違ったままだが、敦賀2号機が「廃炉」とならないように歩み寄りが求められそうだ。(藤原章裕)