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“世界で一番のビジネス環境”狙う 成長戦略の柱「国家戦略特区」
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【「いま」がわかる政治解説】
政府は、成長戦略の柱として打ち出した「国家戦略特区」の関連法案を今国会に提出する。大胆な規制緩和を実施することで「世界で一番ビジネスがしやすい環境」を整え、日本再生に向けた経済成長の起爆剤にする構想だ。ただ、官僚らの抵抗は根強く、今国会で成立できないと「アベノミクス」の今後に大きく影響することになる。
政府は国家戦略特区の法案骨子に、国が定めた地域で規制改革などを推進することにより、「産業の国際競争力の強化、国際的な経済活動拠点の形成を図る」と明記した。
これまでの特区制度は地域おこしや地方活性化といった面が強かった。国家戦略特区はその延長線ではなく、「日本が世界に打って出るためのグローバルなものにする」(政府高官)ことを目指す。安倍晋三首相は6月、都内の講演で「ロンドンやニューヨークなどの都市に匹敵する国際的なビジネス環境をつくる」と強調した。
すでに政府は地域活性化統合本部に国家戦略特区ワーキンググループ(WG)を立ち上げ、具体的な規制・制度改革に向けた作業を開始。住居整備を促すための土地利用規制の緩和や、高度な医療技術を国内に取り入れる外国人医師の診療規制の緩和などを実施する方針だ。
この国家戦略特区に最有力とみられているのは、2020年夏季五輪の開催都市に決まった東京だ。競技場や宿泊施設などの整備に民間の資金や経営ノウハウを導入する「PFI」方式を活用できるようにする規制緩和を検討している。
菅義偉(すがよしひで)官房長官は今月20日、川崎市内の街頭演説で、国家戦略特区の対象地域について「来年、全国で3~5カ所程度、指定する」との見通しを示した。
ただ、雇用規制に関しては関係省庁や労働組合の強い抵抗で調整が難航し、10月中旬を予定していた特区の地域選定は大幅にずれ込む見通しだ。
政府は、柔軟な働き方や雇用形態を可能にし、事業再編などを促すことを狙って雇用規制の緩和も目指してきた。しかし、野党から「解雇特区」と批判されたことなどから抜本的な雇用規制の緩和は見送りに。グローバル企業などでの労使紛争を防ぐ「雇用ガイドライン」の作成や、企業向けの相談窓口「雇用労働相談センター(仮称)」の新設などが盛り込まれるにとどまった。
国家戦略特区は、日本経済再生の牽引(けんいん)役として「日本の『本気』を示すプロジェクト」(新藤義孝総務相)と位置づけられる。それだけに、安倍首相が「岩盤」といわれる規制にどこまで切り込めるか注目される。(豊田真由美)