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海外情勢
所得分配制度改革に問題山積 税・財政見直し、健全化など必要
配信元:中国新聞
更新中国共産党第18期中央委員会第3回総会(3中総会)で、新たな施策が打ち出されるとみられる中国の所得分配制度改革。専門家は改革の進展に期待感を示しつつ、その進め方には厳しい注文をつけている。
所得分配制度改革の中核は(1)低所得者層の所得向上(2)中所得者層の比率拡大(3)高所得者層の所得抑制-。中国労働学会の蘇海南副会長によると、このうち低所得者層の所得向上に向けた取り組みが、他の2つに先駆け進められる見通しだという。
国務院(内閣)発展研究センターが3中総会に向けてまとめた次世代の包括的改革案となる「383」改革プランに「国民基本社会保障パック」制度の設立が盛り込まれたためだ。
低所得者の所得引き上げには、(1)社会保険制度の構築・整備や各種保障基準の引き上げといった社会保障制度の整備(2)公務員が優遇されている“ダブルスタンダード”の年金制度の是正(3)最低賃金や生活保護制度の支給基準引き上げ(4)労働集約型産業従事者の賃金上昇及び支払い保証システムの構築(5)農民増収策の実施など-が必要となる。「国民基本社会保障パック」は、その中の各種社会保険制度の構築・整備が目的だ。
「低所得者層の所得向上」が、国民の理解を得やすく実現を阻む障害が少ないこともあり、中国国際経済交流センターの鄭新立常務副理事長も「第1次分配の重点となるのは低中所得者層」という。蘇副会長は、「低所得者層の所得向上」が進展すれば、合理的な所得分配や理不尽な所得格差の縮小がより現実化すると期待する。
とは言え、第1次分配はそのスタート地点から「問題が山積み」(蘇副会長)であることも事実だ。
◆情報共有が困難
蘇副会長によると、中国にはまだ国民の所得情報を網羅した包括的なシステムがなく、第1次分配を実施したとしても、政府はその成果すらはっきり把握することができない。このため、第1次分配の成果の一端だけを見て第2次分配を調整することとなり、本来ある格差の是正は極めて困難な状況がある。
一方、今年2月に公布された「所得分配制度改革の深化に関する若干の意見」では、第12次5カ年計画(2011~15年)期間中、中央政府が管轄する国有企業の収益の上納率をさらに5%前後に引き上げるといった内容が盛り込まれた。
◆社会保障に充当
増加部分の一部は社会保障など民生の財源に充てられることになっており、すでに財政省がその準備にとりかかっているという。
業界関係者は、教育、医療、及びその他社会保険など民生に関わる財政支出の割合を引き上げることこそ、低所得者層の生活水準の底上げや格差の是正の有効な手段であると主張する。つまり「所得分配制度の抜本的改革には、税・財政制度改革が必要不可欠」(蘇副会長)だ。
税・財政制度は所得分配制度の重要な構成要素で、その改革が与える影響は大きい。万が一、税・財政制度が改められなければ、所得分配制度改革の多くが立ち行かなくなるだろう。
蘇副会長が指摘する通り、国有企業の上納率の引き上げを含め、減税や増税、支出の管理・抑制、制度の健全化などやるべきことは多い。3中総会を前に、明るい兆しが見え始めた所得分配制度改革。しかし、その実現までの道のりはまだまだ遠そうだ。(中国証券報=中国新聞社)