ニュースカテゴリ:政策・市況
海外情勢
家電の環境技術向上 中小メーカー急務 広州交易会 大手と人気の差歴然
配信元:中国新聞
更新11月中旬に閉幕した中国輸出入商品交易会(広州交易会)では、家電企業の海外取引情勢が大きく二分され、大手ブランド企業のブースには来客が絶えなかったのに対し、中小企業のブースでは閑古鳥が鳴いていた。
勝因を分けた直接的な要因は技術力とブランド力にあり、省エネと汚染物質排出減が新たな主流となった家電業界において、技術レベルの引き上げは中小企業にとっても喫緊の課題であることが浮き彫りとなった。
安徽尊貴電器集団の程鵬飛販売総監は「(農村部における家電購入の補助金制度である)『家電下郷』政策の実施時には国内販売が好調だったが、終了後、すぐに陰りが見え始めた」と話し、海外市場に社運を託すつもりで、今回の交易会に参加したという。
「同政策の実施期間中は、一流ブランドを除き、第4位の売り上げを記録していた」という同社は、その勢いに押される形で、国内市場への比重を7割まで高めていた。
その後、政策終了後に海外市場開拓に力を入れ始めたが、人民元の切り上げと労働コストの上昇によって、輸出商品の利益率は通常平均の15%から5~6%まで下落。2012年に入ると、新興市場国からの注文が7~8%増加し、危機を脱しつつあったが、今年に入ると、受注は20%減に転じたという。
程販売総監は「今年は、インドやブラジルなどが経済構造調整を行ったことや欧米経済の回復、米国の量的緩和政策などの影響で、新興経済国の経済が失速した」と分析。寧波浪木電器国際貿易部の余鵬販売経理は「今年に入り、海外受注は30%減に陥った」と話している。
一方、ブースがにぎわいをみせていたのは春蘭集団、格力電器(グリー)、格蘭仕(ギャランツ)といった有名企業だ。
格力海外販売の張征虎副総経理は「今年1~9月の輸出は20%近い増加を記録しており、来年もこの勢いは維持できる」という。同じ家電企業でも輸出状況が大きく異なった理由については「核心技術の競争力の有無と海外での自社ブランド市場の確立が鍵。技術レベルを向上させ、労働生産率の引き上げなどによるコスト減を実現することで、価格は据え置いたまま利益を確保できる」と説明する。
ただ、今回の交易会の特徴を聞くと、両氏は「冷蔵庫や洗濯機の新たなデザイン」と回答。余販売経理は「新しい試みが出尽くした」とも話す。
しかし、江蘇春蘭輸出入の高元甲総経理は「技術レベルの向上には限界がない」と言い切り、家電業界の今後の発展の方向性はエコや省エネである点を強調している。
省エネや汚染物質排出減への流れは国内政策にも影響を与えている。新政策では、補助金対象となる省エネレベルが引き上げられるとの情報も伝えられており、実施されれば、技術力がともなわない中小企業は、生き残りが難しくなる。(国際商報=中国新聞社)