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【成長ニッポン】(上)国内農業、生き残りの切り札 世界的な生産者認証基準
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■TPP進展で脚光
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)など地域間の経済連携の進展とともに、農産物をめぐる国際競争の拡大が見込まれる中、安全性や環境などに配慮した生産者として評価される世界的な認証基準「GLOBAL GAP(グローバルギャップ)」を取得する動きが日本でも加速してきた。世界規模で展開する小売りや外食チェーンの多くは、グローバルギャップ認証を得た生産者の農畜産物や水産物を優先的に購入し始めており、国内でもいずれ影響が広がる可能性は小さくない。事実上の「世界標準」として存在感を高めるグローバルギャップ認証は、日本の農業が生き残る鍵の一つにもなりそうだ。
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◆250項目の整合性審査
11月9日、神戸市から車で1時間の三木里脇農場(兵庫県三木市)で、グローバルギャップ認証の取得審査が第三者認証機関によって行われた。7.2ヘクタールの農地は流通大手イオンの子会社、イオンアグリ創造(千葉市)が全国12カ所で運営する「AEON(イオン)農場」の一つ。収穫した野菜などはイオンの店頭に並ぶ。
審査は作業者の安全管理をはじめ、整理整頓や周辺環境の保全、作業マニュアルの統一など約250もの項目が対象。例えば農薬の在庫数や管理台帳、リスク管理に関する記録について「全てにおいて整合性が取れないと、チェックではじかれる」(イオンアグリ創造総務品質管理室の大塚和美氏)という。第三者機関の入念な審査は朝8時から午後5時まで続いた。
同社は来年2月中までをめどに、運営する全ての農園でグローバルギャップ認証の取得を目指す。取得を急ぐのは、生産物の「安全・安心」をめぐる消費者への責任だけでなく、グループとしての海外戦略が背景にある。「イオンがアジアでの出店を増やす中、日本からの輸出や現地栽培のいずれでも、グローバルギャップ認証を得ていないと海外で対等に話をできない」(福永庸明社長)
◆日本は122件取得
グローバルギャップの本部はドイツにあり、1997年に欧州でスタートした「EUREP(ユーレップ) GAP」が前身。大手小売業者などで構成する非営利組織のフードプラスが運営する。世界での取得数は2012年末時点で12万3115件に上るが、欧州が74%を占め、日本は約0.1%の122件にとどまる。
ただ、日本の国内市場をめぐってグローバルギャップ認証を意識せざるを得ない事例も増えつつある。日本にも輸出している韓国・済州島のミカン農家175戸がグローバルギャップ認証を今年6月に申請し、出荷組合単位で取得。認証の取得を条件とする小売業者が日本で今後増える状況になれば、愛媛などの国内産地への影響は避けられそうにない。
審査を行う第三者認証機関のテュフズードジャパン(東京都新宿区)では3年前に始めた関連セミナーへの参加者は毎年3組程度だったが、今年は既に24組が参加するなど関心が高まっており、「認証取得が中小規模の農家や大学関係者など多岐にわたってきた」(向井正弘営業本部長)。SGSジャパン(横浜市西区)でも13年度の認証実績は足元で10年度比で約3倍の25件に上っているという。
国内の小売業界ではグローバルギャップ認証をまだ重要視していないのが現状だが、東京農工大学の渋沢栄教授は「グローバルギャップ認証を取得した海外の生産者との競争に勝つためにも、日本の生産者は今こそ取得に動くべきだ」と指摘している。(那須慎一)