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【躍動 メコン】ラオス 新たな成長センターに

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

【躍動 メコン】ラオス 新たな成長センターに

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 ラオスは、2010年から3年連続で8%を超える成長を記録し、13年も引き続き高い成長率を維持しそうだ。1986年に導入した「新経済メカニズム」に基づき、開放経済政策を導入し、銀行制度の改革、国営企業の民営化などを進め、さらに外国投資法を制定、外資導入に積極的に取り組んできた。メコン川を利用した水力発電による「売電」や、金銀銅山などの鉱業生産が成長を支え、1人当たり国内総生産(GDP)では、ベトナムに並ぶ勢いでカンボジア、ミャンマーをしのぐ。こうした勢いをかって、ビエンチャンを中心とする新都市開発計画なども次々と打ち出され、メコンの新たな成長センターとしての地位の確立を狙う。海に面していないため、従来は物流面での不利が指摘されていたが、今後、東南アジア諸国連合(ASEAN)の経済統合で、隣国との連結性が強化されれば、中継地としてだけでなく、製造業の新たな拠点としての期待が高まる。ラオス政府もベトナムからタイ、ミャンマーへと抜ける東西経済回廊に沿ったサワナケットなどでの経済特区(SEZ)整備を進め、日系企業の誘致に余念がない。

 ラオス首相府上級顧問で、国際協力機構(JICA)専門家の鈴木基義氏は、ラオスはタイとの人的・文化的交流が深いことから「タイの日系企業にとって、ラインの一部を補完するサテライト工場などで、国境を越えた分業体制がさらに進むだろう」と分析する。ラオスは15年のASEAN経済共同体(AEC)の発足をバネにさらなる成長が期待される。(宮野弘之)

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 □ケントン・ヌアンタシン駐日大使に聞く

 ■AEC加盟でさらなる加速期待

 ラオスのケントン・ヌアンタシン駐日大使に、東南アジア諸国連合(ASEAN)の市場統合などに向けた取り組みと日本への期待について聞いた。

 --ラオスにとって15年のASEAN経済共同体(AEC)の発足はどのような意味があるか

 「ラオスにとって、AECに加盟することは、チャンス(機会)でもあり、挑戦でもある。AECがもたらす効果は、ラオスの経済・社会開発がより迅速になり、ラオスの貿易および投資が、さらなる段階に入ることができると期待している。実際のところ、ラオスは小国であり経済規模や生産力はまだ小さい。しかし、AECに加盟することでラオスは6億人の広大な市場と高いレベルの貿易交渉力を持つことになる。他のAECメンバーと同様の生産基盤を持ち、商品だけでなく労働力の移動も自由化される。さらにAEC内でのサービス(貿易)および投資がスムーズになり、これらの恩恵を受けられる。もちろん陸路、水路、空路の交通連携も便利になる。一方、挑戦についていえば、ラオスは競争力の急上昇に対応するために準備が必要となるということだ。そのために、国内の全ての機関や企業が、それぞれの仕事内容だけでなく、生産能力の向上にも力を入れる必要がある」

 ◆隣接する利点に注目

 --AEC加盟に向けて、具体的にどのような対応を進めているのか

 「ラオス政府は、すでに発展を遂げた他の(ASEANの)メンバーとの間で、多くの分野にわたる格差の是正に努めている。最優先で準備する必要のあることは主に3つある。ひとつは、国内労働力の技術・能力向上に努めることだ。次いで各分野での自由化を促進するための法整備が必要だ。そして、ASEANの輸出基準を達成するため、中小企業間の連携をはかり、技術力を向上させることだ」

 --メコン5カ国の1国として、ASEAN統合に向けて最優先で解決すべき課題は何か

 「ラオスは大メコン圏に立地している国のなかで、多くの課題に直面している。まず、解決しなければならないことは、交通インフラの整備などを通じ、ラオスがアジア地域および大メコン圏において、多くの国と隣接しているという利点を、より生かすことができるようにすること。2番目の課題は、ラオスの法整備をAECで統一された規律に合わせて進めること。そして3番目が労働者の技術を向上させ、AEC市場での競争力を増すことだ。4番目としては、統合する過程で大メコン圏だけでなく、ASEANさらには隣接する中国との間で、サービス分野の健全な確立が必要だ」

 --ASEAN統合を進めるうえで、とくに日本に対して期待することは

 「ラオスだけでなくASEANにとっても、日本からの科学的知識および最新技術の伝達が重要だ。また、多くの日本投資家が、ASEAN各国により一層、投資できるように、日本政府の投資促進策にも期待している。政治分野では、日本がアジア太平洋における平和および安全保障を維持するための役割を、今後も継続していくことを願っている」

 ◆SEZへの投資期待

 --日本からの新たな投資でとくに期待する分野は何か

 「ラオスではこの20年間、国内だけでなく外国からの投資のほとんどは(電力開発を含む)資源開発に集中的に行われてきた。今後の投資については環境保護の分野はもちろん、製造業に集中的に行われることが必要だと考えている。この目標を達成するために、ラオス政府は全国で経済特区(SEZ)を建設することに力を入れている。現在、10カ所が完成しており、20年までには30カ所に増える予定だ。こうしたSEZの開発、またはSEZへの投資を日本の投資家に検討していただきたい」

 --市場としての注目も高まるのではないか

 「15年にAECの発足を迎えるなかで、とくに日本の投資家には、長期的なビジョンを描いてもらいたい。ラオスは地理的に、ASEANのなかで新興経済国として急成長を遂げた国々に接しており、それらの貿易圏の中央にあたる。そして、北側は大国の中国と接している。(AECの発足で)ラオスで生産された全ての製品を、巨大マーケットである隣国のベトナム、タイ、中国、ミャンマー、カンボジアへ輸出することができるということだ」

 --駐日大使として、日本国民にメッセージを

 「ラオスと日本との関係は長く、(1955年の外交関係樹立以来)58年間にわたる友好協力関係がある。ラオスの駐日大使として、日本国民および日本政府に対し、これまでラオスの経済・社会開発を支持・支援していただいてきたことに、心から深くお礼を申し上げたい。これからも、ラオスと日本の友好協力関係が、ますます親密となり、さらに拡大していくことを願っている」

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 ■ラオス人民民主共和国

 人口         約651万人(2012年、政府統計局)

 面積         約24万平方キロメートル

 民族         ラオ族(60%)はじめ49民族

 宗教         上座部仏教が大半

 国内総生産(GDP) 約92億ドル(12年、ラオス統計局)

 1人当たりGDP   1349ドル(同上)

 政体         人民民主共和制

 元首         チュンマリ・サイニャソーン国家主席

 首相         トンシン・タマウォン首相

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