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米IT大手、ロボットに熱視線 グーグルは買収攻勢、アマゾンは無人機開発…成長分野を開拓
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【ワシントン=柿内公輔】米IT(情報技術)大手が、ロボット事業に力を入れ始めている。グーグルが軍事用ロボットなどの開発企業を矢継ぎ早に買収しているほか、アマゾン・コムは運搬ロボットに加え配送用無人機の開発に着手。インターネットに続く新たな成長分野としてロボットに熱い視線を向けている。
グーグルは、ここ半年だけでロボット関連の企業を8社も買収した。そのうちの一つで、東大OBらが設立した日本企業のシャフトは、災害現場で活躍するロボットを開発。同社は20日から始まった米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)が主催する災害救援ロボットの競技会に参加し、初日のトップに立った。
グーグルは、軍事用ロボットを開発している米ボストン・ダイナミクスも買収した。同社はマサチューセッツ工科大で人工知能に取り組む研究者らが設立。移動困難な地形でも歩行できる高性能ロボットを国防総省に納入し、ソニーの犬型ロボット「AIBO」の開発を支援したこともある。
グーグルは、ロボット事業の具体的な目的を明かしていないが、開発中の眼鏡型情報端末や自動運転車などITを駆使した次世代機器の一つとして、生産や運搬で活躍する画期的な産業用ロボットが焦点のようだ。
同社のアンディ・ルービン上級副社長は米メディアに「10年がかりのビジョンが必要だが、(ロボット事業は)偉大な仕事になる」との見解を披露、期待を寄せる。
アマゾンも運搬ロボットを開発する米キバ・システムズを昨年買収し、自社の配送センターにも1400台を配備。さらに小型無人機を使った配送サービスを2015年にも始めると最近表明した。衛星利用測位システム(GPS)を活用し、宅配ピザのように注文から30分以内での商品の配送を目指すといい、米テレビ番組で試作機を公開したジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は「まるでSFのようだが、違うんだ」と自信を見せた。
アップルが先日買収したイスラエル企業のプライムセンスもロボット関連企業で、同社が手がける人の動きを感知するセンサーはゲーム機にも使われている。
従来は自動車などの製造現場で限定的に活用されていたロボットだが、サービス業など裾野が広がり、「IT企業のノウハウや先進性が求められている」(アナリスト)と指摘されている。
インターネット検索最大手。本社は米カリフォルニア州。最高経営責任者(CEO)のラリー・ペイジ氏らが大学院生だった1998年に創業。社名は10の100乗を示す数学用語「グーゴル」に由来。動画配信のユーチューブや携帯大手のモトローラ・モビリティなど大型買収を進めている。
米シアトルに本拠を置くインターネット通販最大手。最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾス氏が1995年に創業。書籍のディスカウント販売などで急成長し、現在は日用品など多様に扱う。ベゾス氏は宇宙飛行に向けた事業も手掛けている。