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つぶやかなくなった橋下氏、情報発信スタイルは“ドブ板”へ移行
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日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長の情報発信方法に異変が起きている。これまで顔を出そうとしなかった地域の小規模な催しや、会合に積極的に足を運んで住民との対話を重ねる一方、情報発信のツールとしてフル活用してきた自身のツイッターでは昨年10月以降、ほとんどつぶやかなくなっている。市を特別区に分割し、大阪府とともに再編する「大阪都構想」の是非を問う住民投票が平成26年秋に想定される中、不特定多数のフォロワーより、市民一人ひとりへの説明を重視しているという見方が関係者の間では有力だ。
昨年12月6日夜、大阪市鶴見区にある地元の社会福祉会館。長方形を作るように並べられた長机を橋下氏と地元のPTA会長や自治会組織関係者らが囲んでいた。
「市民の声を直接聞きたい」。橋下氏の希望で実現した意見交換会だ。出席者からは地域団体への補助金カットなど橋下改革に批判的な質問も相次いだ。
橋下氏も「限られた財政で施策を行うには、選択と集中が必要」などと説明する一方、「選挙で選ばれた区長が複数いるほうがいいですよね」と都構想のPRも忘れなかった。
橋下氏はかつて、平松邦夫前市長が地元の区民まつりに参加していることを「選挙活動と疑われかねない」「大都市経営者の仕事ではない」などと批判したこともある。しかし、8月ごろからスタンスの変化が顕著になってきた。
「橋下市長が市民から直接意見を聞けるような会合や機会があったら、日程を連絡してほしい」
市関係者によると、同月ごろ、橋下氏の公務日程を管理する秘書課から地域の活動を所管する市民局の担当者にこんな連絡が入った。そして、同月から10月にかけて5区の区民まつりに出席。さらに地域の会合にも2回、顔を出した。
記者会見でスタンスの変化を問われた際にはこうまくしたてた。
「市長が区民まつりに行くのは普通。ダメなんですか。市長だから行き、市民の皆さんと話をします」
「都構想をぜひみなさんに理解してもらいたいんです」
12月18日夜、橋下氏は大阪市内で関西経済同友会の会員向けに都構想に関する講演を行っていた。
演壇の橋下氏は大型スクリーンに大阪府の地図などを投影しながら、「大阪の姿をどうするかが問われている。選挙では自民党、民主党を応援しても、この話では賢明な判断をしてほしい」と熱弁。「お話ししたいことがありすぎて時間が足りないですよ」と多弁だった。
維新は府議会でも市議会でも過半数を制しておらず、住民投票の実現には難航が予想される。苦労の末に住民投票にたどり着けたとしても、過半数の賛成を得られなければ、全てが水泡に帰してしまう。
「市民らの理解が進んでいるとはいえず、会合や講演で直接、都構想の説明をしていきたいのだろう」。市幹部はこう推し量る。
講演を依頼した関西経済同友会の事務局スタッフも、橋下氏の変化を感じていた。
「これまで何度お願いしてもダメだったのに、今回はOKでした。橋下市長も都構想をアピールしたいタイミングだったのでしょう」
一方、国内の政治家で最多の約115万人のフォロワーを擁するツイッターでの情報発信はほとんどない。
堺市長選の投開票日直前に政党広告の掲載を拒否されたとして、橋下氏が朝日新聞に対しては政務に関する取材を拒否していることをめぐり、朝日記者と論戦した11月18日に「朝日とのやり取りの録画映像です。皆さんの評価に委ねます」と書き込んだのを最後に、テレビ出演の告知などスタッフの書き込みが続いた。橋下氏は「書き込むのが面倒でやめちゃっている」などと話すようになった。
維新の成長の背景には、橋下氏の発信力があり、ツイッターは強力な手段になていた。参院選の伸び悩み、堺市長選の敗北などで退潮ムードがただよう中、維新関係者は橋下氏の“沈黙”に気をもむ。
維新所属の衆院議員は「ツイッターは世界中に発信できるが、都構想の住民投票をするのは大阪市民だけ。ツイッター上で反応があっても外野の意見にしかすぎないからではないか」と推測する一方で、こう本音も漏らした。
「維新の支持率や注目度は、すべて橋下代表の発信力にかかっている。もっとツイッターでばんばん発信してほしい」