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GDPプラス成長も、増税後の消費減速でデフレ圧力直面の可能性

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GDPプラス成長も、増税後の消費減速でデフレ圧力直面の可能性

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消費税率引き上げ前の駆け込み需要を狙ったセールも始まっている=東京都目黒区のダイエー碑文谷店  2013年10~12月期の実質国内総生産(GDP)が4四半期連続でプラスとなったのは、4月からの消費税増税前の駆け込み需要に支えられた側面が大きい。ただ、海外景気の減速などから、輸出や設備投資の回復は遅れたまま。企業の賃上げなどにより、消費税増税で予想される景気の腰折れをいかに防ぐかが最大の焦点だ。

 駆け込み需要下支え

 13年10~12月期の伸びを支えたのが、堅調な個人消費だ。伸び率は前期比0.5%増と、13年7~9月期の0.2%増からさらに拡大した。牽引(けんいん)役となったのは、消費税増税前の駆け込み需要が顕在化した新車販売だ。

 東京トヨペットでは、昨年11月ごろから駆け込み需要が増え始め、今年1月の受注台数は従来予想より1割多い4120台に膨らんだ。同社の森田修一営業支援部担当部長は「『いつまでに買えば大丈夫か』との問い合わせが相次いでいる」と話す。

 ダイエーでは、今月15日から駆け込み需要を狙ったセールを始めた。衣料用洗剤売り場に大容量の詰め替え用商品を並べた碑文谷店(東京都目黒区)は「すでに1ケース単位でまとめ買いする消費者もいる」(福西陵生店長)。同社は駆け込み需要で日用品や化粧品部門の2月中旬から3月の売り上げが前年同期比2割増になるとみる。

 もっとも、個人消費には「駆け込み需要以外の加速感がない」(第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミスト)というのも事実。1~3月期は駆け込み需要がさらに消費を押し上げる見通しだが、駆け込みが強まるほど、その後の反動は大きくなる。増税後の減速の懸念は拭えない。

 輸出環境改善せず

 「輸出環境がなかなか改善してこなかった」。甘利明経済再生担当相は、17日の記者会見で、消費を中心とした内需の堅調ぶりとは対照的に、輸出は伸びを欠いたと認めた。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」で進んだ円安で回復が期待されたが、米国や新興国向けなどが低調だったのが影響した。

 企業の海外生産シフトの拡大も、輸出の伸びを抑えている。安倍政権発足前までの長引く円高で、国内製造業が海外生産シフトを加速。国内自動車8社の昨年の輸出台数は前年比2.8%減となり、日産自動車とホンダ、スズキの3社に至っては昨年の国内生産台数が100万台を割り込んだ。電機分野も、海外で生産したスマートフォン(高機能携帯電話)を輸入するケースが増え、輸出は増えにくい構図となっている。

 低調な輸出は設備投資の伸び悩みにもつながっている。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「消費税増税で14年度の内需は減速しやすく、景気動向は良くも悪くも輸出次第となる」と指摘する。

 アベノミクスの円安は、副作用として輸入物価の上昇を招いている。デフレ経済の特徴である名目成長率が実質成長率を下回る「名実逆転」状態が13年10~12月期は2四半期ぶりに解消された。

 物価は消費税増税でさらに上昇する。日銀の試算によれば4月に消費税率が8%に引き上げられると物価は1.9%押し上げられる見通し。消費税増税に伴う製品価格の上昇で、消費に大きな影響が出るのは確実だ。

 企業の賃上げなどで家計の所得が増えなければ節約意識が強まり、店頭での価格競争が再び激化して「再びデフレ圧力が強まる可能性がある」とニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは指摘する。

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