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GDP年率1.0%増 駆け込み需要が牽引

ニュースカテゴリ:政策・市況の国内

GDP年率1.0%増 駆け込み需要が牽引

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消費税率引き上げ前の駆け込み需要を狙ったセールも始まっている=東京都目黒区のダイエー碑文谷店(松岡朋枝撮影)  ≪消費≫

 ■新車盛況、納車に遅れも

 「いつまでに新車を買えば消費税率5%が適用されるのか」。トヨタ自動車系列の販売会社「東京トヨペット」では、昨年11月頃から、こんな問い合わせが後を絶たない。消費税率は4月から現在の5%から8%になる。新車は、3月末までに納車・登録しておけば税率は5%のまま。このため、増税前に購入しておこうと、駆け込み需要が顕在化。東京トヨペットの1月の受注台数は予想より1割多い4120台に増えた。

 すでに一部人気車種では、これから契約しても年度内に納車が間に合わないほどの盛況ぶりで、会社総出で対応に追われている。

 平成25年10~12月期に4四半期連続となる実質GDPの伸びを支えたのは、紛れもなく個人消費だ。前期比で0・5%増と、25年7~9月期の0・2%増からさらに拡大した。牽引(けんいん)役となっているのが消費税増税前の駆け込み需要だ。

 とくに税率が引き上げられる前と後での価格差が大きい耐久消費財ほど、その動きが顕著になり始めている。パナソニックの温水洗浄機能などがついた洗濯機。最上位機種は30万円を超えるが、昨年10~12月の販売台数は前年同期比2倍と絶好調だ。株価の上昇に伴

う資産効果などもあり、百貨店では高額時計などが引き続き好調に推移する。

 スーパーなどでも消費税増税をにらみ、日持ちする日用品の需要取り込みを目指す動きが広がってきた。

 ダイエーは今月15日から駆け込み需要を狙ったセールを展開。衣料用洗剤売り場に大容量の詰め替え用商品を並べた碑文谷店(東京都目黒区)では「すでに1ケース単位でまとめ買いする消費者もいる」(福西陵生店長)とホクホク顔だ。同社は駆け込み需要で日用品や化粧品の2月中旬から3月末の売り上げが前年同期比2割増になるとみる。

 駆け込みが追い風になり堅調を続ける個人消費。だが、第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは「駆け込み需要以外には勢いがない」と指摘する。26年1~3月期は駆け込み需要がさらに消費を押し上げる見通しだが、駆け込みが強まるほど、その後の反動は大きくなる。増税後の減速の懸念は拭えない。

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 ≪輸出≫

 ■低調 設備投資に影

 「輸出環境がなかなか改善してこなかった」。甘利明経済再生担当相は17日の会見で消費とは対照的に輸出が伸びを欠いたことを認めた。10~12月期の実質GDPの輸出は0・4%増と2四半期ぶりにプラスとなったが、伸びは小幅で、経済を支える牽引役とはなりきれていない。

 政府は、安倍政権の経済政策「アベノミクス」で進んだ円安で、いずれ輸出が高い水準まで回復するとみていた。読み違えは安倍政権発足前までの円高で、想定以上に企業の海外生産移転が進んだことだ。国内生産の縮小で輸出が増えにくくなった結果、国内自動車8社の昨年の輸出台数は前年比2・8%減と、円安でも減少に歯止めがかからなくなった。電機分野でもスマートフォン(高機能携帯電話)の輸入などが増え、輸出は増えにくい構造だ。

 低調な輸出は、設備投資の伸び悩みも招きかねない。10~12月期の設備投資は1・3%増となったが、市場予測(2%増)を下回った。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「消費税増税後の景気は、良くも悪くも輸出がカギを握る」と指摘する。

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 ≪物価≫

 ■デフレ脱却 鮮明に

 アベノミクスによる円安は、副作用として輸入物価の上昇を招いている。その結果、デフレ経済の特徴である、名目成長率が実質成長率を下回る「名実逆転」状態が、25年10~12月期は2四半期ぶりに解消された。物価の総合的な動きを示すGDPデフレーターも4四半期ぶりのプラスだった。

 物価は消費税増税でさらに上昇する。日銀の試算によれば4月の消費税増税で物価は2%程度押し上げられる。増税に伴う購入価格の上昇で消費に大きな影響が出るのは確実。財務省によれば、所得から税金や社会保険料を国民がどのくらい払っているかを示す26年度の国民負担率は25年度比1・0ポイント増の41・6%と過去最高になる見通し。

 企業の賃上げなどで家計の所得が増えなければ節約意識が強まり、店頭での価格競争が再び激化して「再びデフレ圧力が強まる可能性がある」とニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは警戒する。増税後の景気腰折れをいかに防ぐか。日本経済がまもなく試練の時を迎える。

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