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法人減税、効果の見極め難題 企業競争力強化と税収のバランスが焦点

ニュースカテゴリ:政策・市況の国内

法人減税、効果の見極め難題 企業競争力強化と税収のバランスが焦点

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 アジアや欧州の各国に比べて高い水準にある日本の法人実効税率の引き下げに向けた機運が高まってきた。企業の競争力強化につながると安倍晋三首相が強い意欲を示しているためだ。税率を諸外国並みまで下げれば企業業績が改善し景気浮揚効果で税収増になるとの意見がある一方、浮いたお金を企業がため込み減税分だけ財政が悪化するという正反対の指摘もある。税率引き下げに対する明確な解が見通しにくい中で、効果の見極めが議論の大きな焦点となるのは確実だ。

 設備投資4兆円上昇

 「法人実効税率を下げると税収が上がるのかどうかシミュレーションする必要がある」

 13日に開かれた政府税制調査会(首相の諮問機関)の総会。田近栄治・一橋大大学院教授ら出席委員からは、法人実効税率を引き下げた場合の税収などに与える影響を詳細に分析する必要があるとの意見が続出した。

 税率を引き下げた場合、景気や税収がどうなるかを見通すのは難しく、中長期的な税制のあり方を検証する政府税調で専門的見地から検証する必要があるとの考えからだ。

 日本の国・地方を合わせた法人税の実効税率は、東京都で現在38.01%。みずほ総合研究所の試算によれば、税率をドイツ並みの29.55%まで下げれば企業の税負担が減り、10年間累計で4兆円の設備投資の押し上げ効果になるという。新たな工場や設備ができれば、生産が増えて、雇用も創出されるという経済の好循環が生まれる。結果的に税収増につながる経路は確かに想定できる。

 実際、引き下げが税収増につながった先例がある。欧州だ。主要15カ国の法人実効税率(平均)は1998年の36.9%から2007年に28.7%まで引き下げられた。減税すれば税収も減少するのが本来の姿だが、名目国内総生産(GDP)に占める法人税収の比率は2.9%から3.2%に上昇した。この現象は「法人税のパラドックス(矛盾)」と呼ばれ、安倍首相も強い関心を示している。

 しかし、ことはそう簡単ではない。逆の事例もあるからだ。1980年代、米国のレーガン政権は法人税率引き下げによる景気浮揚効果で税収増を狙った。だが、蓋を開けてみれば、税率引き下げが税収不足を招いたことで財政赤字に転落。貿易との「双子の赤字」のジレンマを抱え、長く経済の足を引っ張った。

 特例措置見直し急ぐ

 こうした米国の苦い教訓も踏まえて、麻生太郎財務相は法人実効税率の引き下げについて、「財政が極めて厳しい状況にあるので、そのへんをよく考えてやらないといけない」と慎重姿勢を崩さない。

 財務省の試算では法人実効税率を1%下げると約5000億円、10%下げれば約5兆円もの税収減になる。5兆円は国の税収の約1割分に当たるだけに、それだけの代替財源は「なかなか見当たらない」(麻生氏)のが現状だ。

 しかも、話をややこしくしているのは250万を超える日本の法人のうち、過去の赤字などを理由に7割強が法人税を納めていないことだ。減税しても恩恵は一部の大企業などに限られかねない。

 政府税調では、法人実効税率を引き下げた場合の景気への効果の検証と平行し、特定業種に限って法人減税されている租税特例措置の見直し議論も急ぐ。この措置では、法人税率の2%分に相当する約9000億円が軽減されている。これを縮小・廃止すれば、財源の一部を確保できるとの見方が浮上したためだ。海外で法人実効税率を引き下げた各国も、実効税率引き下げと合わせて課税範囲や対象を広げており、どう税収を穴埋めしたかなども検証する。

 ただ租税特別措置は、税制改正の実権を握る自民党税制調査会が各業界の要望に応えて実現した例が多く、縮小・廃止の調整の難航は避けられない。

 多くの難問を抱えながら、企業の競争力強化と税収のバランスを考えて、あるべき税の姿を描くのは一筋縄にいかない。政府税調や経済財政諮問会議での議論などを通じて、成長戦略の鍵となる法人税改革への道筋をどう描き、6月の経済財政運営の基本方針「骨太方針」に具体策をどこまで盛り込めるか。政権の本気度が改めて問われている。(今井裕治)

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