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【Q&A】法人税減税 成長戦略の目玉 首相、強い意向

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【Q&A】法人税減税 成長戦略の目玉 首相、強い意向

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税制調査会の役割=2014年2月13日現在  安倍晋三首相の諮問機関である政府税制調査会の総会が2月13日に開かれ、法人税の税率引き下げに向けた議論が始まりました。

 Q 政府税調の役割は

 A 首相の要請に応じる形で中長期的な視点から税制の在り方を議論し、改革の方向性を答申などでまとめます。学者や経営者、自治体トップ、マスコミ関係者ら有識者がメンバーです。

 Q 与党の自民党、公明党にも税制調査会がありますが

 A 与党税調は、税制に詳しい有力議員が幹部となり、省庁や業界の要望を受けて毎年度の税制改正の具体的な内容を議論します。自公両党の意見を与党税制協議会で調整し、年末に税制改正大綱をまとめます。政府は大綱に沿って税制改正法案をつくり、年明けの国会に提出します。

 Q 民主党政権時とは違うようですね

 A 民主党政権では、財務相が政府税調の会長を務め、関係各省の大臣と副大臣、政務官がメンバーでした。党税調も党内の意見を集約して政府税調に伝えましたが、税制改正の決定権は政府税調にありました。

 Q どうして法人税の減税が焦点になっているのですか

 A 経済界は、日本企業の国際競争力を高めるためには海外に比べて高い法人税の税率を引き下げる必要があると主張しています。安倍首相もアベノミクスの「3本の矢」の1つである成長戦略の目玉としたい考えです。1月下旬にスイスで開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)では「国際相場に照らし競争的なものにしなければならない」として、法人税改革に着手することを表明しました。首相の意向を受け、政府税調でも本格的に議論することになりました。

 Q 具体的には

 A 政府税調の中に法人税を議論する検討グループをつくり、座長に元経済財政担当相の大田弘子政策研究大学院大教授を起用しました。税率の在り方のほか、減税財源をどうやって確保するか、減税を実施した場合に経済全体にどの程度の効果があるのか、といったテーマを議論することになります。

 Q 13日の総会では多くの委員から減税が必要との意見が出たそうですが

 A 安倍首相は政府税調のお墨付きを得て、6月にもまとめる骨太方針で法人税率下げの方向性を示したい考えです。ただ消費税を増税する一方で法人減税で企業を優遇することに批判が出る可能性があります。中小企業には赤字のため法人税を払っていない企業が多く、税率を下げてもメリットがないとの指摘もあります。政府税調と与党税調が連携して減税の具体的な道筋を描けるかどうかは不透明です。

 ≪企業優遇に反発 財源確保でも高いハードル≫

 法人税減税をめぐっては、大企業を中心に期待する声がある一方、中小企業の多くは赤字で恩恵が薄いとの見方や、消費税増税で家計の負担が増すのに「企業だけを優遇するのはおかしい」との不満も根強い。減税財源の確保もハードルが高く、議論は難航しそうだ。

 法人税の実効税率は、復興特別法人税の廃止により4月から約35%(東京都の場合)になる。中国や韓国は25%程度で、大企業には「国内外からの投資を活発化させるため、10%程度の引き下げが必要」との声が多い。経団連の次期会長に内定した榊原定征・東レ会長は「経済が拡大すれば、税率を下げても税収は増える」と主張する。

 これに対し財務省は、法人税率を10%下げると年間で約5兆円の税収が減ると試算。税収減を補う方策が議論の大きな焦点となっている。

 有力視されているのが特定の業界や企業などの税負担を軽くする「租税特別措置」の廃止・縮小だが、これだけで巨額の財源を確保するのは難しい。政府税調総会で一部の委員が言及したように、個人の所得税の増税が議論される可能性がある。(SANKEI EXPRESS (動画))

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