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増税でもデフレ脱却 政府楽観的? 来年度経済見通し GDP500兆円、実質成長率1.4%

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増税でもデフレ脱却 政府楽観的? 来年度経済見通し GDP500兆円、実質成長率1.4%

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政府与党政策懇談会に臨む安倍晋三(しんぞう)首相(右から3人目)=2013年12月21日午後、首相官邸(酒巻俊介撮影)  政府は12月21日、2014年度の名目国内総生産(GDP)が、リーマン・ショック前の07年度以来、7年ぶりに500兆円に達するとした経済見通しを閣議了解した。

 来年4月の消費税率引き上げに伴う反動減で、一時的に成長が落ち込むものの、設備投資や個人消費は堅調で、今月(12月)決めた経済対策も景気を下支えし、景気回復が進むとみている。成長率は物価変動を除く実質で1.4%程度、景気実感に近いとされる名目で3.3%程度と予測。デフレ下で実質が名目を上回る「名実逆転」も17年ぶりに解消するとした。

 ただ、成長率を慎重にみる民間エコノミストと政府の見通しには大きな開きがあり、政府の見方には楽観的との指摘もある。

 政府は、来年4月の消費税率引き上げに伴う需要の落ち込みを緩和するため、景気への即効性がある公共投資などを盛り込んだ経済対策を裏付ける13年度補正予算案をすでに編成。24日に閣議決定される14年度当初予算案とあわせて「100兆円予算」を着実に執行して景気を下支えすれば、経済見通しで示した成長は十分に可能ともくろんでいる。

 14年度の消費者物価の上昇率は3.2%、消費税増税の影響を除くと1.2%と試算した。完全失業率は13年度が3.9%で、14年度は3.7%に改善するとの予測も示した。

 だが、こうした政府のシナリオは、民間エコノミスト41人の平均予測である実質0.8%、名目2.3%とは相当な隔たりがある。野村証券の木下智夫チーフエコノミストは「4~6月期の落ち込みと増税によって実質所得が減るため、個人消費は弱くなる」と政府の見通しを厳しく評価している。

 実際、景気を下支えする財政出動や日銀による金融緩和には限界がある。「100兆円予算」による財政出動は、来年4月の消費税増税後の需要落ち込みを和らげはするが、高成長を達成するため公共工事や補助金に頼れば、財政が一段と悪化する懸念もあり、成長を牽引(けんいん)し続けることは難しい。

 安倍政権が頼ってきた日銀の金融緩和にも手詰まり感が強い。これ以上の国債購入は財政赤字の穴埋めとの疑念を招きかねず、米国が緩和縮小へ転じる中では、さらなる緩和に踏みだしにくくなっている事情もある。

 カギを握るのは、税制や規制改革も組み合わせて民間活力を引き出す成長戦略だ。手詰まり感が表面化する前に、民間の活力を引き出し、企業が投資を活発にする視点が欠かせない。

 政府は来年1月に成長戦略の行動計画を策定する。3月には国家戦略特区の対象地域を指定し、産業界が要望する法人税の実効税率引き下げも来年末に向けて議論される見込みだ。

 歴代政権の下で「策定しても実行されない」(経済官庁幹部)ことが常態化していた成長戦略が、旧弊を脱して実行段階に移されるかどうかが日本経済の命運を握っている。

 ≪予算一般会計95兆8800億円 「未来への投資と安心・安全に重点」≫

 政府・与党は12月21日、一般会計総額を95兆8800億円とする2014年度予算案を了承した。社会保障費の増加などで規模は過去最大に膨らんだものの、新たな国の借金となる新規国債発行額は13年度に比べ1兆4000億円減らすうえ、財政の健全性の指針でもある基礎的財政収支も、目標としていた4兆円を大きく上回る5兆2000億円の改善とするなど、財政再建を進める姿勢もみせた。政府は24日に予算案を閣議決定する。

 安倍晋三首相(59)は、予算案を了承した21日の政府与党政策懇談会で「今回の予算は、競争力強化のための未来への投資、暮らしの安心・安全に重点化する」と述べた。

 14年度予算案では、中小企業の試作品開発などを後押しする補助金に補正と合わせて1526億円を確保。企業の省エネ設備導入支援や「3Dプリンター」の開発費も成長戦略の一環として計上する。

 教育分野では、幼稚園の保育料補助を拡充、高校生向けに創設する奨学給付金制度には28億円を充てる。米国立衛生研究所(NIH)にならった「日本版NIH」の創設に向け、医療分野の研究開発に1200億円を計上する。設備投資の活性化や成長分野の育成を通じて企業業績を改善し、賃上げで家計も潤う好循環を目標としている。

 了承に先立ち、麻生太郎財務相(73)と新藤義孝総務相(55)が折衝し、14年度予算の争点だった地方交付税に上乗せする「別枠加算」を、13年度より約4割減の6100億円とすることで合意した。これにより全国の自治体に配分する交付税総額は約2000億円少ない16兆9000億円と、2年連続の減少となる。だが地方税収は1兆4000億円増え、地方財政の一般財源は前年度6000億円増の60兆4000億円になる。(SANKEI EXPRESS

 ■国内総生産(GDP) 国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値を合計した額。国の経済規模や景気動向を示す重要な指標となっている。個人消費や企業の設備投資、公共投資などの内需と、輸出から輸入を差し引いた外需で構成される。物価変動の影響を取り除いた実質GDPと、そのままの金額で計算した名目GDPがある。GDPの増減率が経済成長率と呼ばれる。

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