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TPP日米誤算、成長戦略に打撃も 最後まで「本音」引き出せず
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25日閉幕したTPP交渉の閣僚会合は交渉を主導するはずの日米の「誤算」を鮮明にした。このまま交渉がいたずらに長期化する漂流状態となれば、他の交渉参加国から両国の責任論が浮上しかねない。安倍晋三政権の成長戦略にも痛手となる恐れが大きい。
「妥結に近づいたが、関税撤廃を扱う物品市場アクセスが残っている」。ニュージーランドのグローサー貿易相は同日の閣僚会合後の記者会見で関税協議が最大の難問との認識を示した。甘利明TPP担当相も「交渉参加12カ国で経済の占める割合が大きい日米が妥結することが重要だ」と強調した。
今会合で合意に至らなかった最大の要因は関税協議での日米の根深い対立だ。
日本の誤算は米国から「本音」が最後まで引き出せなかったことにある。
農産品重要5分野の関税の扱いをめぐって、日本側は「米国は交渉をまとめなければならないタイムリミットになれば、本当に日本に売り込みたいモノでの譲歩を求めてくるだろう」と想定し、これに応じる譲歩案を検討していた。
ところが、今会合直前の20日まで都内で開かれた日米の事務協議では、米国がほぼ全貿易品目の関税撤廃という原則論を撤回しなかった。日本は米国に「本気で交渉をまとめるつもりがあるのか」(同)という疑心暗鬼を抱えたまま今会合に突入したのが実情だ。
一方、米国は今会合の直前、新興国との対立点の調整に注力。「日本包囲網」を敷くことで日本に大幅譲歩を迫る狙いがあったとみられるが、日本の反応を読み間違った側面は否めない。
日米の反目に他の参加国からは「日米が交渉を引っ張るはずじゃなかったのか」との失望感も広がるが、安倍政権にとってもTPPは成長戦略の大きな柱の一つ。交渉の失敗は「経済政策『アベノミクス』に期待し、日本買いを進めてきた海外投資家からの評価ががた落ちになる」(経済官庁幹部)恐れもはらむ。今後は、4月下旬に予定される日米首脳会談で交渉を再び軌道にのせることができるかどうかが大きな鍵を握ることになる。(シンガポール 吉村英輝、会田聡)
2月25日 閣僚会合閉幕(シンガポール)
3~4月 事務レベル協議 4月下旬 オバマ米大統領来日、安倍晋三首相と会談
5月17、18日 APEC貿易相会合(中国・青島)
閣僚会合(?)
11月4日 米中間選挙
11月10、11日 APEC首脳会議(中国・北京)