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企業の物価見通し、日銀初公表 目標「物価上昇率2%」次の一手は?
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個人の1年後の物価上昇率予測 日銀は2日、初めて集計した「企業の物価見通し」を公表、1年後の物価上昇率は平均で前年比1.5%となった。緩やかな物価上昇局面が続き3年後、5年後とも前年比1.7%上昇を予想、企業はデフレには戻らないとみている。しかし、日銀が目標に掲げる「物価上昇率2%」を下回っており、目標達成への道筋を示す日銀の新たな一手に注目が集まる。
企業の物価見通しは、3月の全国企業短期経済観測調査(短観)の一環として約1万社を対象に実施。消費税など制度変更の影響を除いた物価が1年後、3年後、5年後にどう変わるかを聞いた。今後も3カ月ごとに実施する。
一方、個人に物価予測を聞いた3月の「生活意識に関するアンケート調査」では、1年後の物価上昇率の予測平均値が5.0%と前回(2013年12月)調査に比べ0.1ポイント上昇した。
日銀は昨年4月、世の中に出回るお金の量を2年で2倍に増やす量的・質的金融緩和を導入し、14年度の終わりから15年度にかけて2%の物価上昇を目指している。
過去の日銀政策とは異なり、個人や企業の期待に働きかけ、予想物価上昇率を高める波及効果を狙っている。
日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は「抜本的に人々の期待を変える」と強調。個人や企業が将来にわたって物価が上昇すると予想すれば「値段が上がる前に買えるものは買う」という心理が働き、消費や投資が促されるからだ。金融緩和で国内景気回復を後押ししデフレ脱却に道筋をつけるのが狙いだ。
2月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比1.3%上昇した。日銀の展望リポートで示す消費者物価上昇率予測の13年度0.7%を上回り、14年度1.3%と並ぶ。ただ、今後は物価を押し上げてきた消費税増税前の駆け込み需要の剥落や円安の一服により物価上昇が頭打ちとなり、2%へのハードルは高まる。
実際、今回の企業の物価見通し調査では、日銀が目指す2%の物価上昇率に到達しないと多くの企業がみていることが分かった。黒田総裁は「2%への道筋が揺らげば、躊躇(ちゅうちょ)なく政策を調整する」と繰り返しており、市場では追加緩和への期待感が強まっている。
SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは企業物価見通しについて「日銀の15年度消費者物価上昇率予測1.9%の経路に沿った数値とも評価でき、追加緩和の材料に使うには微妙な数字。決定力に欠ける」と指摘する。