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社会保障費急増で財政悪化懸念 「骨太方針」素案、人口減少に危機感
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政府は骨太方針の素案で、50年後に人口1億人程度を維持するため「人口急減・超高齢化の流れを2020年を目途に変える」とし、人口減少に対する強い危機感を示した。約1000兆円の債務残高を抱える日本は、財政の健全性を示す国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)を20年度までに黒字化できないまま、人口減少も食い止められなければ、社会保障費の急増で財政が急速に傷み、回復が困難になる。
日本は高齢化が進む一方、出生率の低水準が続き、総人口は08年をピークに減少に転じた。今後、総人口が減るスピードは加速し、48年には総人口が1億人を割り込む見込み。人口減少は税収や生産、消費の落ち込みにつながり、成長や財政、社会保障の持続に大きな影響を及ぼす。
日本の社会保障制度は、現役世代が支払う税や保険料で高齢者を支える構造のため、高齢化は財政を圧迫する。25年には団塊世代(1947~49年生まれ)が75歳以上となり、40年には団塊ジュニア(1971~74年生まれ)も65歳以上になる。高齢化に伴い、年金・医療・介護など社会保障給付費は今年度の115兆円から、25年度には約150兆円に増える見込みだ。
今後50年続く超高齢化社会を乗り越え、成長を維持できる社会構造へ道筋をつけることは、まさに喫緊の課題だ。高齢化が加速する20年度までのPB黒字化が達成できなければ、債務残高の膨張に歯止めがかからなくなる可能性が高まる。
素案では、20年度までのPB黒字化目標を掲げ、15年度予算についても「厳しい優先順位付けを行う」とし、財政健全化に意欲を示した。だが、具体策は乏しいうえ、財政悪化の最大の要因である社会保障費は、75歳以上を対象とした保険料軽減措置や高所得者の年金給付の見直しなど、高齢者に一定の負担を求める内容が目立ち、高齢者の反発を招くのは必至だ。
医師などが処方する薬代の基準であり、保険料や患者の窓口負担でまかなっている薬価についても、財務省は薬価引き下げのため、薬の値段が年々下がっている実態を反映し、これまでの2年に1度の改定を年1回にするよう求めた。だが、自民党厚労族の巻き返しを受け、素案に入る予定だった「年1回」の文字が土壇場で削除された。
子育て支援や地域活性化など大半の政策で財源についての言及がなく、「聖域なき歳出削減」の先行きは心もとない。
次世代に借金のツケを回さないためには財政健全化への手綱を緩めることは許されない。政府には具体的な工程を示し、歳出歳入の抜本改革に早急に取り組むことが求められる。
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SMBC日興証券の渡辺浩志シニアエコノミスト「財政健全化と経済成長をバランスよく両立させており、100点満点中80点で合格だ。法人実効税率の引き下げでは、税収の上振れ分を財源にして大幅な引き下げを求める声が強かった中、代替財源を確保することを盛り込み、財政への目配りをしたことは評価できる。法人税減税とともに女性支援や雇用改革、外国人労働者の活用など、今までできなかったことに一歩踏み出し、ビジネスしやすい環境が整うよう工夫している。ただ、教育分野は物足りない。成果が出るのに時間はかかるが、人材育成は国の経済力に関わるので、もう少し踏み込んでもよかった」
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法政大学の小黒一正准教授「今回の『骨太』では、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化で経済のキープレーヤーたる企業の意識変革を迫るなど評価できる項目も多いが、個別政策ごとの整合性には疑問がある。特に、女性の活躍を掲げながら、少子化対策に財源の手当てが十分に担保されていない点は、政府が掲げる安定した人口保持の流れと逆行し、出生率の低下を招きかねない。短期的な効果を目指した政策と、長期的な視野に立った政策の切り分けができておらず、『骨細』の感が否めない。焦点の法人税改革では『20%台を目指す』という表現に落ち着かせたことで、市場への影響と厳しい財政状況との整合性をとった印象だ」