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インドのカフェ各社、利益確保に苦心 高コスト体質改善へブランド売却

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

インドのカフェ各社、利益確保に苦心 高コスト体質改善へブランド売却

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 インドのカフェ市場は拡大が続いているものの、各社が利益の確保に苦心している。市場の高コスト体質や、カフェを社交の場として利用する消費者が多いことなどが要因だ。現在の市場規模は170億ルピー(約315億円)で、ここ数年は年率20%以上の勢いで成長が続く一方、ブランドの売却や新たな提携先の模索といった動きが慌ただしくなっている。現地経済紙エコノミック・タイムズなどが報じた。

 社交の場と認識

 蘭コンサルティング大手KPMGはインドのカフェ市場について、客単価が低く、各店舗とも大幅な売り上げ増が見込めない厳しい分野だと分析する。

 同国では、カフェは友人などとの会話を楽しむ社交の場として認識されており、食事が目的のピザやハンバーガーといった他のレストランチェーンと比較して、消費意欲が希薄な客が大半を占めるとの見解だ。

 また、小売業者にとって好条件の場所が限定されるため、店舗賃料の高止まりが続いてコスト上昇の原因になっている。

 KPMGは、インド国内の一般的なカフェの売り上げ100ルピーに対して、店舗の賃料や人件費を含む営業コストが55ルピー、コーヒーや食品の材料コストが35ルピー、店舗の利益となるのは残り10ルピーだと指摘している。営業コストのうち、賃料は15~18%に達しており、人件費の10%を大きく上回って最多となっているもようだ。

 今年8月には伊カフェチェーンのラバッツァが、インドで展開していたカフェブランドのバリスタ・コーヒーを地場カーネーション・ホスピタリティーに10億ルピーで売却した。同ブランドは2007年にラバッツァが48億ルピーで買収したが、期待していたほどの収益が得られず、売却時には全190店舗中30店舗が赤字の状態だったという。

 さらに、英コスタ・コーヒーが地場企業との経営をめぐる「見解の相違」から新たな提携先を模索するほか、豪グロリア・ジーンズ・コーヒーはインド事業の撤退を検討している。

 12年に進出した新規参入組の豪ディ・ベラ・コーヒーは3年を待たずにインド事業の戦略変更を迫られ、今年は従来の提携企業との関係を解消して15~20%の値下げを余儀なくされた。

 スタバは60店に拡大

 苦戦が続くカフェチェーンのなかで、気を吐いているのが米スターバックスだ。12年に西部ムンバイに1号店を出店した同社は50店体制を目指すとしていたが、現在までに約60店に店舗網を拡大。中国・アジア地区の統括責任者、ジョン・カルバー氏は「インド市場の反応には大変満足している」と述べ、今後のインド市場での事業展開に自信を示した。

 しかし、現地経済紙ビジネス・スタンダードは、スターバックスもインドでの出店計画を実現するために店舗の規模を縮小するなどしてコスト削減を図っていると指摘。インドの小売り事業者全体が頭を悩ませる高コストの問題は、特にカフェ事業者にとって今後も頭痛の種であり続けると予想する。

 ダージリンなど紅茶を好むイメージが強いインドだが、所得向上による中間層の増加などでコーヒーを楽しむ消費者の増加は続いている。激しい競争と高コスト体質という厳しい市場環境のなか、カフェ各社の経営手腕が問われる局面が続きそうだ。(ニューデリー支局)

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