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想定以上に消費税増税の影響大きく マイナス成長、冷え込む個人消費
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内閣府が17日発表した7~9月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は物価変動の影響を除いた実質で前期比0.4%減(年率換算は1.6%減)と2四半期連続のマイナス成長となった。4月の消費税増税が政府の想定以上に大きな影を落とした。安倍晋三首相は18日に来年10月の消費税再増税の延期を表明するが、経済を回復軌道に戻せるかは予断を許さない。
7~9月期GDPの最終需要の内訳は約6割を占める個人消費が前期比0.4%増と2四半期ぶりに増加したが、4月の増税に伴う駆け込み需要の反動減からの回復は力強さを欠いた。
設備投資は増税後の生産回復の遅れによる稼働率低下で0.2%減と2四半期連続の減少。住宅投資も増税の影響が続き、6.7%減と2四半期連続で減少した。公共投資は公共事業の執行が本格化し、2.2%増と2四半期連続で増加。輸出は2四半期ぶりのプラスだった。
甘利明経済再生担当相は17日の記者会見で、雇用や賃金の改善は続いていることを挙げ、景気後退局面にはないと強調したものの、「デフレマインドが払拭し切れていないなか、増税のインパクトが想定より大きかった」と、消費税増税の影響が大きかったことを認めた。
4月の消費税増税が最も大きな影響を与えたのが個人消費だ。増税に賃金改善が追いつかない中、円安による輸入物価の上昇が重なったことが個人消費回復を遅らせている。
消費の現場は、衣類や日用品は増税に伴う駆け込み需要の反動減から回復している一方で、自動車や家電は不振が続くなど、まだら模様だ。
「財布のヒモが固く、なかなか販売に結びつかない」
首都圏のトヨタ系販売会社では、11月前半の受注実績が前年同月比で半分近くまで落ち込んだ。消費税増税から半年あまりがたち、一定の回復を期待していたが、幹部は「ここまで落ち込みが長引くと、もう反動減とはいえない」と首をかしげる。
消費税増税後は高額な耐久消費財ほど消費の現場に影響を及ぼしている。パソコンの販売も10月は約25%落ち込んだ。耐久消費財は単価が下落傾向の中でも、販売が戻らない状況にあり、片岡剛士・三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員は「低所得者が消費税増税でお金がなくなり、耐久消費財を買っていない」と分析する。
一方で、回復の足取りが重かった衣服など身の回り品には変化の兆しも出始めている。急速な株高に伴う資産効果を背景に富裕層を中心に引き合いが増えているのだ。実際、百貨店では松屋銀座店の11月の売り上げ(16日現在)が、高級ブランドバッグや秋冬物の衣類が好調により前年同月比10%増加した。
7~9月期のGDPで2四半期連続の減少となった設備投資も、先に発表された9月の全国企業短期経済観測調査(短観)や機械受注統計では、円安を背景に企業の投資意欲に改善の兆しが示されている。
ただ、円安による輸入物価の上昇が家計やサービス業に与える悪影響など、先行きの景気リスクは払拭できていない。
政府が消費税再増税の延期を決めた場合、経済を回復軌道に戻すことはできるのか。
第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは「再増税の延期を決めた場合でも、消費回復ペースが一気に強まるには至らず、当面の国内景気の持ち直しペースは、緩やかなものにとどまる」との厳しい見方を示した。(尾崎良樹、永田岳彦)