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【ビジネスアイコラム】国債管理、日銀買い入れにリスク
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安倍晋三政権が、2015年10月から予定されていた10%への消費増税を1年半延期することを表明したことを受け、市場では一時、国債価格の低下・長期金利の上昇が懸念された。だが、延期決定直後には、先物市場で国債の売りが生じ、若干の金利上昇がみられたものの、足元では大幅な金利上昇は起きていない。ひとまず財政への信任は保持された格好だ。
日銀が追加金融緩和(10月末)により、買い入れる国債の償還までの期間(平均残存期間)を「7年程度」から「7~10年程度」に延ばすことを踏まえ、政府は15年度の国債発行について、30年債と40年債をそれぞれ1兆円程度増やし、総額で4兆4000億円程度とする方針を示している。
追加金融緩和により、金利が低く維持されているうちに超長期国債についても発行額を増やそうという判断である。このオペレーションによって将来の国債の利払い負担が軽減され、財政再建に一役買うことになる。
一方、追加金融緩和を受け、民間金融機関の国債管理のあり方は、より神経質となりかねない。いわゆる国債の「官製相場」下におけるファンディングの難しさがあると言っていい。先の中間決算では、あるメガバンクのトップは、国債のファンディングについて問われ、次のように語っている。
「日銀の追加金融緩和はマーケットから国債を買っていくが、過去はメガバンクを中心に国債を売って日銀が買うという図式がメーンだったが、足元ではメガバンク3行はその時と同じように国債残高を落としていないので、今後のスタンスは、新発債を引き受けて日銀に売却することになるだろう」
このメガバンクのトップが指摘するように、メガバンク3行はこれまでのように国債の残高を落とす局面を終え、一定割合を安定保有する局面に入っている。このメガバンクの場合には、約20兆円が平常時の国債の保有額と見込まれている。
「利回りというよりもマーケットのいろいろなビジネスの担保にするために、残高をゼロにするわけにはいかない」(先のメガバンクトップ)というわけだ。
だが、この維持されるべき国債の残高は、あくまで平常時の水準であり、突然の長期金利の上昇に備え、迅速に残高を落とせる態勢を作っておく必要はある。このためメガバンクなどは金利上昇に備えたストレステストを繰り返し行い、総じてデュレーション(国債の残存期間)を3年以内に抑えている。「金利は15年度の大きな不確定要素なので、注意深く見ていく」(メガバンクトップ)としている。
12月1日に、ムーディーズ・インベスターズ・サービスは日本国債の格付けを「Aa3」から「A1」に1段階引き下げた。消費増税の延期に伴い20年度の財政健全化目標の達成に不確実性が高まったことが理由だ。「中期的に国債利回りが上昇し、債務返済能力が低下するリスクが高まっている」(ムーディーズ)と指摘している。金融機関が懸念する不測の金利上昇(国債価格の低下)は突然訪れる。国債の市中発行の9割も日銀が買い入れる現状は、財政ファイナンスと受け止められかねないリスクをはらむ。15年は国債管理に焦点が当たることになろう。(ジャーナリスト 森岡英樹)