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GDPプラスも消費回復弱く 14年10~12月期年率2.2%増
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2014年10~12月期のGDPは米国や中国向けの輸出が堅調だった(AP) 内閣府が16日発表した2014年10~12月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.6%増だった。これを好感し、東京株式市場の日経平均株価も約7年7カ月ぶりに終値で1万8000円を回復した。このペースが1年間続くと仮定した年率換算では2.2%増で、3四半期ぶりのプラス成長となった。ただ、3%台後半との見方が多かった市場予想を下回った。GDPの約6割を占める個人消費は、消費税増税後に大幅に落ち込んだ後の戻りとしては力強さを欠く。今後は春闘で賃上げが拡大するかが焦点で、日本経済は本格回復に向けて大きな岐路を迎えた。
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◆節約志向が重しに
「デフレ脱却に向けて好ましい状況だ」。甘利明経済再生担当相は3四半期ぶりのプラス成長をこう評価した。
10~12月期のGDPの項目別では、個人消費が前期比0.3%増と2四半期連続のプラス。品目別では携帯電話やパソコン、飲料品などが伸びた。輸出は電子部品や石油製品などが増えたことで2.7%増と大きく伸び、2四半期連続のプラス。米国や中国向けの輸出が伸びたほか、訪日外国人の増加も寄与した。輸入は1.3%増だった。設備投資は、ソフトウエアなどが伸びて0.1%増で3四半期ぶりに増加。公共投資は0.6%増で3四半期連続で増加した。住宅投資は1.2%減で3四半期連続のマイナスだった。
一方、14年のGDP成長率は実質で、前年比0.04%増、名目は1.7%増だった。デフレの象徴とされる、名目成長率が実質を下回る「名実逆転」状態は、1997年以来、17年ぶりに解消された。
輸出が海外経済の回復に加え、円安もあって持ち直し、輸入も原油安の影響で伸びが抑えられたことが寄与した。増税後、想定以上に長引いた景気の落ち込みに底打ち感が出てきた。しかし、実質成長率は市場予測を大きく下回り、2四半期連続のマイナス成長からの回復としては物足りない内容であることは否めない。
その主因は外需に比べ、内需の回復が力強さに欠けたことだ。個人消費は2四半期連続のプラスとなったものの、政府が天候不順で個人消費が大きく押し下げられたと強調する7~9月期と同水準。増税直後の4~6月期に前期比5.1%減と急減した増税の影響が払拭されるまでには至っていない。
食料品や日用品の値上がりを背景に実質賃金が18カ月連続でマイナスとなるなど、増税や円安に伴う物価上昇に賃上げが追いつかず、家計の節約志向が続いていることが消費回復の重しになっている。
3四半期ぶりに増加した設備投資も業績好調な大企業が中心で、景気の先行きに自信が持てず投資に慎重な企業も多い。
足元の消費の回復はなお、まだら模様だ。1月の国内新車販売台数(軽自動車を含む)は前年同月比19.1%減の40万1366台となり、2カ月ぶりに前年水準を下回った。前年1月に増税前の駆け込み需要で販売台数が膨らんだ反動が出て、増税後最大の下落幅となった。日本自動車販売協会連合会(自販連)の担当者は「受注の前年比は週を追うごとに低くなり、非常に厳しかった」と振り返る。
ただ、一昨年の1月と比べると4.7%増。増税後の需要低迷は徐々に収まってきており、「週末フェアのお客さんの出足も戻ってきている」(ホンダの峯川尚専務執行役員)との声も上がる。
住宅市場は軟調が続く。不動産経済研究所が16日発表した1月の首都圏のマンション発売戸数は前年同月比8.1%減の1679戸で、2カ月ぶりに前年同月を割り込んだ。
大手百貨店によると、高給腕時計などは富裕層の旺盛な購買意欲で売れている一方、2万~3万円台の婦人服などの販売は伸び悩みが続いている。「中間層と呼ばれる一般的な勤労世帯の購買力が回復していない」。ある百貨店の担当者は消費の現状をこう分析する。
すかいらーくの谷真社長は「1000円以上のメニューについては、客数が増えているが、世帯収入が400万円以下の層や若年層の客数が減っている」と分析する。
◆着実な賃上げ重要
先行きの日本経済について、民間予測平均では実質で年率1%台半ばから2%台の緩やかな成長が見込まれている。消費税率10%への引き上げが今年10月から17年4月まで先送りされ、原油安によるガソリン価格の下落など消費も追い風が吹く。
ただ、中国など新興国には景気減速の懸念もくすぶり、欧州もギリシャの債務問題次第では、海外景気が減速する懸念は拭えない。
海外経済の下ぶれリスクを和らげるには、安倍晋三政権が目標とする経済の好循環をしっかり定着させていく必要がある。そのためにも、法人税減税に踏み込んだ政府は「今年も賃上げをしっかり実現することを期待している」(甘利氏)と強調する。今春闘で行われる賃上げが円安に伴う輸入物価上昇や増税の負担を上回り、消費者に先行きの安心感を与えられるかが課題となる。