SankeiBiz for mobile

TPP合意めど立たず 首席交渉官会合が閉幕 足を引っ張る日米

ニュースカテゴリ:政策・市況の国内

TPP合意めど立たず 首席交渉官会合が閉幕 足を引っ張る日米

更新

TPPの首席交渉官会合が開かれた会場のホテル=15日、米ハワイ州ワイコロア(共同)  米ハワイで開かれていた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の参加12カ国による首席交渉官会合が15日(日本時間16日)、閉幕した。知的財産など難航分野を中心に協議したが、交渉は“一進一退”の様相を呈し、合意のめどは付けられなかった。12カ国全体の合意の前提となる日米協議も不発に終わり、日本が目指す安倍晋三首相訪米前の決着にも暗雲が漂う。(本田誠)

 7日間にわたる今回の会合は、4月にも閣僚会合を開いて全体の大筋合意にこぎ着けるための地ならしができるかが焦点だった。だが、難航分野などで課題を積み残し、次回閣僚会合の開催時期を明示するには至らなかった。

 最も難航している知的財産分野は「これまでの膠着(こうちゃく)状態から少しは動き出した」(交渉関係者)という状況。ただ、代表例とされる新薬データの保護期間をめぐっては、有力な新薬メーカーを多く抱える米国が保護期間を10年以上にすべきだと主張し、日本も8年以上と訴えている。

 これに対し、ベトナムやマレーシアはデータ保護期間の終了後に販売される安価な後発薬の普及が妨げられると反発しており、保護期間を3~5年に抑えたい考えだ。医療費の負担増を懸念するオーストラリアやニュージーランドもこれに同調しているとみられる。

 同じく難航分野の国有企業改革も一部で進展があったものの、対立は解消していない。日米は国有企業の優遇策を見直して民間企業との競争条件を対等にするよう要求する。だが、国有企業の多いベトナムやマレーシアは国内経済への影響を理由に消極姿勢を崩さない。

 また、かつて知的財産や国有企業改革と並ぶ「難航3分野」の一つとされた環境は、最近の交渉で合意に近づいたとみられていた。しかし、今回の会合では一部の参加国から異論が出て、むしろ若干後退したもようだ。

 今回の会合が不調に終わった背景には、交渉を主導する米国で合意に不可欠とされる大統領貿易促進権限(TPA)法案の提出が遅れている影響が大きい。さらに参加国全体の経済規模の8割を占める日米協議が依然決着していないことも足を引っ張っている。いずれも他の参加国が譲歩案を出し渋る要因となっているからだ。

 今回の会合期間中、日本からは大江博首席交渉官代理も現地入りし、米国のベッター農業担当首席交渉官と日本の重要農産品の関税の扱いで協議した。だが、残された難題にまでは踏み込めなかった。政府は首相が訪米する4月下旬からの大型連休前に決着させるというシナリオを描くが、先送りとなる恐れも「ないとはいえない」(政府高官)のが現状だ。

 12カ国は引き続き事務レベルで断続的に折衝を続ける方針。5月下旬にはフィリピンでアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合が開かれる。このタイミングでTPP閣僚会合を開催できるかが、交渉の成否を占う重要な目安となりそうだ。

ランキング