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海外情勢
国産米、優良品でも遅れるブランド構築 消費者志向高級化、人気は海外産
配信元:中国新聞
更新山西省太原市のスーパーに並ぶコメ袋。中国の国産米は業者の意識の薄さなどからブランド化が遅れており、ゆとりのある層には日本米やタイ米が人気となっている(中国新聞社) 中国では、中国人旅行者が日本で高価なコメを購入しているニュースが話題になっている。
中国政府は2007年7月、それまで4年間禁止していた日本産のコメ輸入を復活させた。価格は1キロ当たり約90元(約1726円)と中国産の20倍、タイ産の10倍以上だったが、販売は好調で、北京では品切れとなった。
8年後の現在も、日本産はタイ産と並び「良質米」「高級米」といわれている。
全国農業協同組合連合会(JA全農)によると、14年の日本の対中コメ輸出量は160トンで、前年の2倍超だったという。
穀物取引情報サイト、中華糧網の孫忠アナリストは「コメ市場の消費が細分化し、消費者の生活が安定したため、より高級な主食が求められるようになった」と分析している。
◆本物は入手困難
一方で、国内のコメ産業は停滞している。
北京市内の複数の大型スーパーマーケットでは、販売されているコメの多くが国産の量り売りだ。包装の産地表示は「東北米」「安徽米」など漠然としており、ランク表示は「優質米」「中国米」などと曖昧だ。ブランドのうち、シンガポールのウィルマー・インターナショナルが展開する「金竜魚」や中糧集団(COFCO)傘下の中糧食品営銷が展開する「福臨門」は知名度が高いが、いずれもミドル・ローエンド商品だ。
業界関係者は「高級米といえば中国人は真っ先に日本米かタイ米を連想する。一方で(黒竜江省五常市産の)五常稲花香のような良質米は本物を手に入れるのが困難だ」とため息をつく。
中国人民大学農業農村発展学院が14年に実施したブランド米調査で、最も消費者の印象に残っているブランドは上位から順に五常、盤錦(遼寧省)、北大荒(黒竜江省北大荒米業)、福臨門、古船(北京古船米業)、七河源(北京七河原食品科技)、金竜魚、金健(金健米業)、米字牌(吉林糧食集団米業)、利是(盤錦利是米業)、御泉(吉林省徳春米業集団)だった。トップの五常は全体の20%に満たず、さらに地域ブランドの五常と盤錦以外はすべて企業ブランドだ。
◆薄い企業意識
現在、中国の企業ブランド米構築は非常に立ち遅れている。企業側にはブランド分けによって市場を細分化する意識が薄く、詳細なマーケティングを行うという構想が欠けている。
業界マーケティング関係者は「コメは薄利商品で、販売が安定している商品でもある。高いコストを投じて宣伝を行うことに企業は二の足を踏んでおり、これらが積み重なって悪循環が生じている」と説明する。
「近年、業界には川上の原料争奪戦と川下の価格競争という二重の圧力があり、ブランド構築にかける余裕はない」と業界関係者。加工生産能力も過剰で価格をさらに抑制している。
1998年に業界で初めて上場した金健米業も例外ではない。同社は稲作の盛んな湖南省で設立されたが、主体の食用油加工業務は業績が悪化の一途だ。食用油大手の北大荒農業はコメ取扱業務が赤字となり、14年4月に同業務を正式に廃止した。
実は中国市場にも日本産やタイ産に匹敵する良質なコメは存在する。河南省新郷市原陽県産の品種「黄金晴」は1990年代中ごろに、産量や管理の容易さ、品質面すべてでコシヒカリに劣らないレベルと評価された。また江蘇省の「南粳」はミルキークイーンと省内品種を交配して開発した品種で、口当たりはコシヒカリを超えるといわれる。
これらのコメは品質が良くてもブランド化には遠いのが現状だ。南粳は07年に国家植物新品種に申請したが、産業化は遅れている。黄金晴は偽物や粗悪品が出回っている状況だ。(新京報=中国新聞社)