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海外情勢
病院利便性、オンライン決済やネット予約で向上 北京世紀壇医院が先行運用
配信元:中国新聞
更新河北医科大学第四医院で行われた「音楽療法」の専門家と患者らによる音楽会の様子。音楽で心理状態を安定させ、生活の質(QOL)を向上させている=河北省石家荘市(中国新聞社) 北京市にある病院、北京世紀壇医院で先月、2つの新システムの試行が始まった。1つは(健康保険証や年金手帳など社会保障機能を一体化させた)「社会保障カード」を、電子マネー支払い機能を持つ共通IC診察カード「京医通カード」の支払いシステムと紐(ひも)付けするというもの。そして、もう1つはスマートフォンのインスタントメッセンジャー「微信(ウィーチャット)」のモバイル決済サービス「微信支付」による医療費支払いシステムの導入だ。
◆微信予約20%が利用
この第三者決済サービスによるオンライン決済は6月から市内の各病院で利用可能になるという。一方、「社会保障カード」と「京医通カード」の紐付けシステムに関しても、年内をめどに市管轄の全ての病院に普及するとみられる。
モデル病院として、市内の他病院に先駆けて新システムを導入した世紀壇医院では、現在「微信」による受診予約を24時間受け付けている。導入初期段階では、全体の20%ほどが「微信」からの予約だったという。
ただ注意したいのは、キャンセルの際、予約時間前までにキャンセル手続きを行わないと“違反行為”とみなされ、3回以上行うとブラックリスト入りし、その後3カ月間は「微信」予約ができなくなる点だ。
また、「京医通カード」か「医療保障カード(健康保険証)」のいずれかを所有する人は、初受診の際に専用窓口で患者情報との紐付け手続きを行えば以後、受診の受け付け作業は自動端末を通して番号をもらうだけでよい。
「京医通カード」による支払いでは、(同カードの主な適用対象である)同市の医療保険未加入者と他省の患者はもちろん、同市医療保険の加入者に関しても事前に専用窓口で手続きを行い、「京医通カード」の専用口座を開設、これに医療保障カードを紐付けることで、医療保障カードでの支払いが可能になった。これによって、検査や薬の受け取りごとに列を作る必要がなくなり、時間の大幅な短縮を実現している。
同市医院(病院)管理局財務管理処の申軼処長によれば「『微信』と『京医通カード』の紐付けが実現したことで、患者は家にいながら予約や支払いを行うことができるようになり来院後、すぐに診察してもらうことが可能となった」という。
◆提携企業拡大へ
さらに6月からは「微信支付」での支払いが各病院で開始されるほか、「京医通カード」にはこれまでの病歴などを記録し、市内の病院間でネットワーク連動させることなども検討されているという。
同局の劉建民副局長は新たに導入されたオンライン決済システムについて、「北京市に住む全患者の医療費支払いの利便性を大幅に向上できる」と評価。同局は現在、阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディング)傘下の「支付宝(アリペイ)」を含む、その他のオンライン決済サービス企業とも接触しているといい、今後のサービス拡大の可能性を示唆している。
同時に、人事社会保障部門ともコンタクトを取っているといい、世紀壇医院で試行されているような「京医通カード」のワンランク上の利用システムのほか、同市医療保険加入者による「医療保障カード」での直接支払いについても、他病院での導入を早急に実現したいという。
「京医通カード」は2012年4月に導入されたシステムで、同市医療保険の未加入者を対象に加盟病院での支払いを可能にした。現在までに大規模病院を中心に約30病院が加盟しており、カードの累計発行数は300万枚を突破している。(北京晨報=中国新聞社)