【論風】私大を悩ます2018年問題 選ばれる大学になるには…求められる「質の保証」
更新失敗から学ぶ
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その意味でも失敗から学ぶことは多い。学問には寄り道が必要で、ぶつかり合い、迷いながら未来に向かっていくもので、成功体験は必要だが、失敗や挫折と向き合ってこそ豊かな知をもたらす。大学は本来、失敗やつまずきを許容し、やり直しを認める文化を持っている。悩んで向き合えばタフになる。その仕掛けを大学はつくり、産業界で伸びていける人材、役立つ人材を育てていかなければならない。
そのためには教育が大事で、授業は常に新鮮でなければならない。それが大学の質の保証につながる。優れた研究の上により良い教育が花開くのであり、タイムラグはあっても真の哲理だ。その先進教育を任されているのが大学。高校までは指導要領に沿って授業を行うが、大学は質、内容に縛りがない。教員に免許が必要なわけでもない。だからこそ質が問われるわけで、目標に向かって全力で努力する人材を育てていかなければならない。それこそが大学に求められる質の保証につながる。
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【プロフィル】赤井益久
あかい・ますひさ 1983年國學院大大学院文学研究科博士課程後期満期退学、85年同大文学部専任講師、助教授、教授、総務部長、副学長を経て2011年から現職。67歳。神奈川県出身。専門は中国古典文学。
