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イノベーションにヒーローはいらない 「意味ある目的変更」は深い思考から

安西洋之
安西洋之

 さてイノベーションには2つしかない。

 目的地を変更するか、目的地への到達の仕方を改善するかの2つである。そして、「ぶっ飛んだイノベーション人材」が期待されるのは、目的地の変更ができる人だ(と、思い込んでいる人が多い)。しかし、目的地の変更ができる新しいリーダーシップ像は他人の声に耳を傾ける人である。前のめりの突進型ではない。

 まず人材の話をする前提をはっきりとさせておこう。育成よりも発掘である。「誰にでもイノベーターの素養がありますよ」と片端から甘い言葉でささやくよりも、潜在性の高い人材を数多く発掘するのが先決である。

 ここで「誰にでもイノベーターの素質がある」との説を否定しているのではない。誰でも「ある特定の状況において」イノベーターになりうる可能性はあるが、「ある特定の状況の数」が多い人と少ない人はいる。だからよりイノベーター資質の出現率が高い人を見つける方が良いということだ(イノベーター願望の強い人の人生の満足度は別の話)。

 次に先に言及したように、リーダーシップは目的地を変更できる人である。しかも、それをジャンヌ・ダルクのように1人で旗を振って周囲の人を引っ張るのではなく、周囲の人がグループで新しい目的地に変更できるように「誘導する」ことが求められている。そして、あえて言えば、そうした誘導を受けることを「自分の得にならない」と考えるのではなく、「チーム全員の得になる」と率先して考える人が「リーダーシップの素養をもったフォロワー」である。

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