働き方ラボ

「新語・流行語大賞」をどう見るか? 時代の変化を読み解く

常見陽平
常見陽平

 ほぼ“コロナ一色”だった今年を読み解く

 さて、今年の同賞だが、ほぼ「コロナ関連一色」と言っていいだろう。いや、立ち止まって考えると、「鬼滅の刃」「あつ森」「愛の不時着」などのヒットコンテンツも多数生まれた年ではあった。しかし、すべてにおいて何らかのかたちで新型コロナウイルスショックに結びついてしまっている。分野はまたがっているようで、多様性がないものになってしまっている。これは、同賞が悪いわけではなく、それだけ2020年は新型コロナウイルスショックの年だったということだろう。

 前述したように、この賞は大賞やトップテンだけを追っていては本質が見えない。むしろ、今年はノミネートされた30の語を追うことにより、時代の変化や、これからの兆しを読むことができる。

 トップテンに「オンライン○○」以外、働き方関連のキーワードがほぼ入らなかったのはやや残念だった。とはいえ、ノミネートされた語を追うことで現実と、これからの兆しは見えてくる。「テレワーク/ワーケーション」に「ウーバーイーツ」と、「自由で柔軟な働き方(だとされるもの)」がノミネートされていることは時代を象徴している。これらは今後もキーワードとなるだろう。もっとも、これらが「自由で柔軟な働き方」だとされつつも、実際は「不自由で硬直化した」働き方になりえるという問題を直視するべきである。

 そして社会は「エッセンシャルワーカー」の努力によって動いていることも忘れてはならない。やや極論だが、マスクをして感染リスクを抱えつつ過酷な労働をする人と、マスクをせず自宅で柔軟に働くことができる人という働き方格差を我々は直視しなくてはならない。

 「新しい生活様式/ニューノーマル」「おうち時間/ステイホーム」と言いつつも、我慢の連鎖になっていないか。そして「自粛警察」が跋扈する。なんとも生きにくい時代だ。

 これからをどう生きるか。このノミネート語30語と受賞文を読みつつ「総合的、俯瞰的」に考えよう。大賞やトップテンだけではなく、このノミネート30語とそのつながりを考えること。これこそ大事だ。そして、ビジネスパーソンとしては、いつか自分の手掛けた案件が流行語大賞をとるように。祈りつつ、駆け抜けよう。

常見陽平(つねみ・ようへい)
常見陽平(つねみ・ようへい) 千葉商科大学国際教養学部准教授
働き方評論家 いしかわUIターン応援団長
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。リクルート、バンダイ、クオリティ・オブ・ライフ、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部准教授。専攻は労働社会学。働き方をテーマに執筆、講演に没頭中。主な著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など。

【働き方ラボ】は働き方評論家の常見陽平さんが「仕事・キャリア」をテーマに、上昇志向のビジネスパーソンが今の時代を生き抜くために必要な知識やテクニックを紹介する連載コラムです。更新は原則隔週木曜日。アーカイブはこちら

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